坂本龍馬の妻・おりょう ゆかりの地案内板が完成 神奈川・横須賀

新たに設置された案内板の前に立つ齋藤秀一さん(左)と吉田直弘さん=横須賀市上町

 坂本龍馬の妻・おりょうが暮らした神奈川県横須賀市内4カ所のうち、「ゆかりの地」を示すものがなかった2カ所に今月、案内板が設置された。地元の歴史サークル「湘南海援隊」が署名を集めて市に働き掛けたことで実現し、メンバーは「街おこしにつながってほしい」と望んでいる。

 新たに設置された二つの案内板にはそれぞれ、おりょうが暮らした時期や出来事などを明記。同サークル世話人の齋藤秀一さん(55)と吉田直弘さん(81)によるこだわりの解説だ。

 おりょうは龍馬の死後、全国各地を転々とし、1874(明治7)年に横須賀に移った。1906(明治39)年に生涯を閉じるまで大津町、深田台、上町、米が浜通の順に市内4カ所で暮らしたという。

 齋藤さんらは一昨年、おりょうの生涯をまとめた著書「まっこと面白き女」を出版。4カ所についても解説し、読んだ龍馬ファンが各地から訪れるきっかけになったという。

 米が浜通には葬儀場「おりょう会館」と記念碑、大津町には案内板がすでにあった一方で、深田台と上町にはゆかりの地と分かるものはなく、観光客から「どこにあるのか分からなかった」といった声が寄せられていた。

 同サークルは昨年、市内外から約1100筆の署名を集めて、市に案内板の設置を働き掛けた。市も「地元振興につながる」(文化振興課)として今月、深田台と上町の2カ所に設置した。

 齋藤さんは「大津町、米が浜通、深田台、上町を結ぶ『歴史ウオーキングルート』ができた。街おこしのきっかけになってほしい。多くの方の署名のおかげ」、吉田さんも「ようやく公に認められるようになった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

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