手軽に栄養が取れて、しかもお子さんの好きそうな食事に合うおみそ汁のつくり方をあまこようこ先生に教えてもらう「サラダみそ汁研究会」。今回は「ミートソーススパゲッティ」に合うサラダみそ汁のつくり方を紹介します。
「サラダみそ汁研究会」おさらい
毎日、家族のためにお料理を頑張っている皆さん。今日もお疲れさまです。「手軽においしく、楽しく、そして健康に!」をモットーに、皆さんに新しい食卓のあり方を提案したい。そんな思いで私たちバレッドプレス編集部と、人気フードコーディネーターのあまこようこ先生とで発足した「サラダみそ汁研究会」。
サラダみそ汁の定義は以下のとおり。
1.たっぷりの野菜を使うこと。
2.鍋を使わず、器一つでできる
3.調理時間は3分が目安
「サラダみそ汁研究会」では、「おみそ汁=和食」のイメージを取り払い、みそがもつ健康効果やアレンジ力を幅広く生かしたレシピを紹介するため、お子さんが好きなパンやスパゲッティ、ピザに合わせた、おみそ汁をつくります。
今回のテーマは「ミートソーススパゲッティに合うサラダみそ汁」です。
あまこようこプロフィール
フードコーディネーター・料理研究家。大阪あべの辻調理師専門学校出身。多くのTV、雑誌、広告でレシピ制作、料理制作を行っている。amacoven(あまかゔぁん)主宰。
パンでもお惣菜でもスイーツでもない、「おかずケーキ」の店「ocazu cake coven」運営。著書に『おかずケーキ』(オークラごちそうブック)、『砂糖の代わりに糀甘酒を使うという提案』(アスコム)がある。
ミートソーススパゲッティとおみそ汁のおいしい組み合わせに挑戦
ミートソーススパゲッティと言えば日本のパスタ料理の定番。野菜とお肉がじっくり煮込まれたトマトソースがたまらないですね。スーパーやコンビニで買えるのも嬉しいところ。
そんなミートソーススパゲッティに合うおみそ汁をつくるため、まずはタイプの異なるスパゲッティミートソースを試食してみました。
セブン&アイ スパゲッティ ボロネーゼ
おなじみセブン-イレブンの冷凍タイプのスパゲッティボロネーゼです。2種のサイズの挽肉が使われており、牛肉の旨味と食感がグッと引き出されています。
赤ワイン、4種のハーブ、パルメザンチーズを組み合わせたというソースがよく麺に絡み、洗練かつ満足感のある味わいです。レンジで温めてそのまま食べられる手軽さといい、抜群のコストパフォーマンス!
日清フーズ マ・マー トマトの果肉たっぷりのミートソース
お肉と完熟トマトに加え、野菜のブロードを使いじっくり煮込んだソースは、旨味の相乗効果でより深い味わいとコクに仕上がっています。
酸味、塩味、甘みのバランスがよくお子様からご家族皆さまでお楽しみいただけます。パスタだけでなく、さまざまなアレンジメニューに幅広く使えるのも嬉しい!
ガスト「旨味あふれる!濃厚ミートソーススパゲティ」
蓋を開けた瞬間に目に飛び込んでくるゴロゴロの牛肉がインパクト抜群。牛肉、豚肉の合い挽き肉と玉ねぎ、人参をソテーしたものを、トマトで時間をかけて煮込んであり、リッチな一品です。
味わいにコクを出すため、ビーフシチューが使われているそう。
編集部 ミートソーススパゲッティ、おいしいですよね。私も大好きなパスタ料理です。以前は仕事でよくボロネーゼをつくっていましたが、子どものお客様からの人気はパスタ料理の中では圧倒的でした。
あまこさん 基本的にトマトソース、香味野菜、お肉の旨味が効いたしっかりとした味なので、サラダみそ汁はさっぱりしたものが合いそうですね。
レタスと海藻のサラダみそ汁
材料 1人分
- レタス 1枚(25g)
- 海藻(乾燥) 1g
- 熱湯 120ml
- 液みそ 健康みそ汁 小さじ2
つくり方
編集部 包丁も使わずにつくれる、最速レシピですね! 海藻の歯応えとレタスの軽快な食感がたまらないです。トマトの酸味が爽やかな軽めのミートソース、お肉の旨味が強いしっかりめのミートソース。どちらにも合うから不思議です。
あまこさん ミネラルや食物繊維が豊富な海藻類。サラダみそ汁に使わない手はありませんよね。乾燥タイプの海藻なら保存も便利です。
編集部 乾燥の海藻もいろいろなタイプが販売されていますから、好みのものを探してみるのもおもしろそうですね。
包丁も使わずお湯を注ぐだけで野菜たっぷりのおみそ汁ができちゃう。子どもはもちろん大人にも食べて欲しい一杯。夜遅くに小腹が空いたときにも、これなら手軽で罪悪感がありません。
注いだお湯でレタスも柔らかく熱が入り、いくらでも食べられてしまいそうな舌触りに。
数種類がミックスされた乾燥の海藻を使えば香りも食感もより豊かになります。
【コラム】ボロネーゼは「ラグー」の仲間。ミートソースとの違いは?
ミートソースとは?ボロネーゼとは?、どちらもひき肉が入ったトマトソースというイメージですが、この2つにはどんな違いがあるのでしょうか。
「ボロネーゼ」は北イタリアのエミリア・ロマーニャ州、ボローニャ県の代表的な郷土料理。イタリア語では「ラグー・アッラ・ボロネーゼ」(ボローニャ風ラグー)と言います。
「ラグー」とは、もとはフランス料理用語で幅広く「煮込み料理」を指します。日本のレストランなどでは、食材を小さく刻んで煮込んだものを「ラグー」、ゴロゴロと大きい具材の煮込みを「シチュー」(英語での煮込み料理の総称)と表記されるが多いようです。
香味野菜とひき肉を炒めて旨味を引き出し、赤ワインとトマトソースで煮込んだボロネーゼソースを、平たいリボン状のロングパスタ「タリアテッレ」と合わせて食べるのが、ボローニャでのオーソドックスなスタイルです。
対して、ミートソースは英語表記。アメリカ進駐軍が食べていたミートソーススパゲッティを、日本人コックが真似してつくるようになったのがはじまりと言われています。戦後の深刻な米不足やアメリカから日本へのパン食、小麦粉食の推進も追い風となり、日本のパスタ文化は開花していきました。
当時はパスタという言葉も使われておらず、「スパゲッティ」と「マカロニ」だけが知られていたそうです。
「ボロネーゼ」はイタリアのボローニャの郷土料理。「ミートソース」は「ボロネーゼ」がもとになっていますが、アメリカから日本に伝わり独自の進化を遂げた日本のスパゲッティソースと言っていいでしょう。
洋食とおみそ汁を一緒に食べるというスタイル
洋食とおみそ汁を一緒に食べるという食事のスタイルは、まだまだ根づくのに時間がかかるかと思います。しかし世界中の料理をチョイスして食べることができ、さまざまな海外料理がめまぐるしいブームとなってあふれている日本。食の自由度はピカイチなのだから、「おみそ汁は和食と一緒じゃないと食べられない」と決めつけてしまうのも、尚早な気がします。
みその歴史には諸説ありますが、みその前身となる「醤」は紀元前10世紀の古代中国で発明されていたことが文献によって予想できるそうです。
日本では、みそはもともと「未醤」「味醤」と表記されており、「味噌」という現在の表記が確認されているのは平安前記の書物ではじめて確認されます。平安時代にはそのまま舐めるものだったみそが、鎌倉時代の武士階級への一汁一菜の食習慣の普及により、汁物の味つけに使われるようになりました。
長い歴史を経て、今も私たちの食卓を支えるみその存在。先人の知恵と現代の恵まれた食に感謝しながらそれを守り、私たちもまた新しい食文化をつくっていくことで生活は豊かさを増すのだと思います。
参考
『味噌のふるさと』前田利家 古今書院
『日本人は何を食べてきたのか』永山久夫(監修)青春出版社
『パスタでたどるイタリア史』池上俊一 岩波ジュニア文庫
その他の【あまこようこの「サラダみそ汁研究会」】は