住民投票反対多数ならIR誘致撤回 横浜市長が表明

横浜市の林文子市長

 横浜市が進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致を巡り、林文子市長は28日の定例会見で、誘致方針に変わりはないとしつつ、仮に住民投票が行われて反対多数だった場合は、誘致を撤回するとの見解を示した。前回の会見で「投票の結果を尊重する」と述べていたが、さらに踏み込んだ形。市内では現在、誘致の是非を問う住民投票の実施を目指す署名活動が展開されており、市民や市会に再び波紋を広げそうだ。

 28日の会見で、前回(16日)の発言の趣旨について確認を求められた市長は、「法律を順守したいという気持ちもある。仮定の話だから難しいが、住民投票をして反対が多ければ尊重したい」と説明。反対多数の場合は誘致を撤回するとの意味か、と問われると「私個人としてはそう」と述べた。

 一方で、自ら住民投票を行うよう提案する考えはあるか、との質問に対しては「考えはない」と否定。理由について「IRは国で決まったこと。住民投票をやらなければならないという決まりはない」とした。また、「IRをやるという方向性に変わりはない」と強調した。

 市民団体「カジノの是非を決める横浜市民の会」は9月4日、住民投票条例の直接請求に向けた署名活動を開始。既に法定数を上回る10万筆超が集まったとしているが、実施には、市長に提出する条例案が市会で可決される必要がある。

 一方、市内では現在、市長のリコール(解職請求)を目指す署名活動も展開されている。住民投票の結果に法的拘束力はないが、リコールは必要な署名数が格段に増える半面、法的拘束力を伴う。

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