デビュー3年目の堀ちえみ、燃えさかる「クレイジー・ラブ」の強烈インパクト! 1984年 10月29日 堀ちえみのシングル「クレイジーラブ」がオリコンチャートで最高位(2位)を記録した日

大人への階段を上っていく、デビュー3年目の堀ちえみ

堀ちえみは、1981年の第6回『ホリプロタレントスカウトキャラバン』の優勝をきっかけに、1982年3月21日にシングル「潮風の少女」でデビュー。翌1983年1月発売の5作目のシングル「さよならの物語」にてオリコン&『ザ・ベストテン』で初のTOP10入り、以降約3年間にわたってTOP10級のヒットを重ねていきます。

特にデビュー3年目となる1984年は、徐々に大人への階段を上るようなシングル曲を歌っているのが特長です。具体的に歌詞を読み解くと、9作目となる「白いハンカチーフ」で、泥だらけになっても守ってくれる彼についていく… と決心し、10作目の「稲妻パラダイス」で、スコールに打たれて雨宿りのボートハウスで急接近、さらに11作目「東京Sugar Town」では奥手な彼にモーションをかけて、「朝のバルコニーから 街を見降ろすのいつ?」と、じれったい気持ちを歌っています。

シングル「東京Sugar Town」に続く「クレイジー・ラブ」

そうして迎えたのが、今から36年前に発売された12作目のシングル「クレイジー・ラブ」です。前作「東京Sugar Town」と同じ作詞:三浦徳子×作曲:芹澤廣明コンビの作品ながら、本作は随分とハードな仕上がりとなっています。

まず、歌詞が堀ちえみシングル史上、最もハード。前作で、裸の背中を見せても上着ジャケットで隠した彼に、ここでは「抱いてよ 迷わず」とダイレクトに告げます。また、「ハートの真ん中 噴き出す Fire」や、サビに3回出てくる「嵐」が、まさに “狂おしいまでの愛” を象徴しています。

メロディーの展開もダイナミックで、それに合わせた堀の歌唱もドラマティック。内在するモヤモヤを表すようにつぶやき気味なAメロ、昂ぶる気持ちを乗せて徐々に高音に伸びるBメロ、そして感情を一気にスパークさせるサビと、こちらも堀ちえみのシングル史上、最強のハードポップ路線と言えます(なお、アルバム曲では1984年12月発売の『Strawberry Heart』収録の「モノレールのジョニー」がさらに激しく、この路線が好きな人におススメです)。

そして、アレンジは萩田光雄が担当。ドラムやギターが炸裂する中、ホーン隊が応戦し、さらに激しさを増す様相は、このシングルの後に発売された松本伊代「ビリーヴ」にも共通しており、いずれもハードでありながら情熱的な仕上がりとなっています。

オリコン順位は自己最高、NHK紅白歌合戦にも初出場!

そんな新生・堀ちえみを強烈なインパクトで聴かせた本作は、オリコン1週目の売上げが前3作の2万枚台から4.9万枚と大きくジャンプアップ、自己最高の2位をマーク! この時の1位は、同じレコード会社だったアルフィーの「恋人達のペイヴメント」。近年のように、オリコン1位獲得のための社内調整がなく、本気でぶつかり合っていたことがうかがえます。

また、本作は、『ザ・ベストテン』では、雷鳴まじりの土砂降りの中で歌うという演出がなされました。それまでの堀ならば「キャー!」とビビりながらも愛嬌たっぷりに歌いそうなところ、ここでは終始シリアスな表情で熱唱する様子が評判を呼びました。その効果もあったのか、同番組へのはがきリクエストも好調で、ここでも自己最高の3位をマークします。

そんな感じで新生・堀ちえみを見せた「クレイジー・ラブ」は累計16.3万枚で、最初のブレイク曲「さよならの物語」の18.7万枚に次ぐ2番目の高セールスをマークし、同年末に念願だったNHK紅白歌合戦の初出場を決めます。

ちなみに、次のシングルは、堀ちえみが2020年の『24時間テレビ』にて舌ガンを克服したことで “リ・ボーン” する意味を込めて歌唱した「リ・ボ・ン」でしたが、リリース当時、最もうまくリ・ボーンしてみせたのは、この「クレイジー・ラブ」だったのではないか、と個人的には思っています。

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Song Data
■ クレイジー・ラブ / 堀ちえみ
■ 作詞:三浦徳子
■ 作曲:芹澤廣明
■ 編曲:萩田光雄
■ リリース日:1984年10月17日
■ オリコン最高位:2位
■ 推定売上枚数:16.3万枚
■ 100位内登場週数:12週

カタリベ: 臼井孝

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