自宅を鶴巻温泉に 名湯入浴剤の販売好調 秦野

売れ行き好調の「つるまき千の湯入浴剤」。新しい香りの商品も検討中だ

 地元の名湯・鶴巻温泉をアピールしようと、神奈川県秦野市と市観光協会が10月から販売している「つるまき千の湯入浴剤」の売れ行きが好調だ。当初、千パックを用意したが、発売から1カ月弱でほぼ完売。市は新型コロナウイルスの感染拡大で気軽に温泉を楽しむことが難しい中、家にいながらにして温泉気分を味わえることがヒットにつながっているとみて、さらに千パックの増産を決めた。

 「つるまき千の湯」は、2010年に地下千メートルから湧出した源泉で、国内有数のカルシウム量を含有。やけどや切り傷、神経痛、関節痛などに広く効能があるとされる。市営の日帰り入浴施設「弘法(こうぼう)の里湯」(同市鶴巻北3丁目)など、市内数カ所で楽しむことができる。

 この源泉をアピールしようと、市と観光協会は昨秋に源泉成分を基に配合した入浴剤の商品化プロジェクトをスタート。湧出時の成分分析を基に、長野県の入浴剤業者に製造を委託し、今秋に3種類の入浴剤が完成した。

 発売前は、売れ行きを不安視する向きもあった。市観光振興課の担当者は「湧出から10年を経過しており、入浴剤づくりも初めて。不安が先に立った」と率直に明かす。ただ、ふたを開けてみれば、店頭からは「まとめ買いが多く、販売好調」との報告が寄せられ、担当者は「予想以上の反響で驚いている。新型コロナの影響で、自宅で温泉気分を味わいたいと願う人の購買意欲を喚起しているのでは」とほくほく顔だ。

 予想外のヒットで在庫がみるみる減り、千パックの増産に踏み切った。贈答用に買い求める人も多いといい、関係者は購入者を通じて全国に源泉の魅力が波及することを期待する。

 市によると、コロナ禍で弘法の里湯も例年、書き入れ時の4、5月に休館を余儀なくされ、夏場以降も工事の影響などもあって、客足は昨年の同時期に比べ低迷している。市は一刻も早い感染収束の願いを込め、「入浴剤で魅力を知ってもらった人にはぜひ、鶴巻温泉を実際に堪能してもらいたい」とPRする。

 「つるまき千の湯入浴剤」は、香りのないバージョンと、秦野の誇るヒノキと桜の香りを施した計3種類(各25グラム)を1セットにして、税込み500円で販売。観光協会や秦野名産センターなどのほか、観光協会直営のオンラインショップ「丹沢のぼる商店」でも販売している。問い合わせは観光協会電話0463(82)8833。

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