「半沢直樹」「ナギサさん」「MIU404」コロナ禍の7月クールドラマはTBSが完全制覇!

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「MIU404」公式メモリアルブック(東京ニュース通信社刊)

今回は2020年7月クールのドラマを振り返る。

それにしても2020年は本当に特別な年になった。4月スタート予定だった連続ドラマが軒並みスタート延期となり、ゴールデンタイムで多くのリピートドラマが放送された(その辺りのドラマ事情については8月に当連載で取り上げている)。新作ドラマが放送されているのは、決して当たり前のことではないのだと気付かされた。作り手たちもそうだ。ドラマを作りたくても作れないつらさ、悔しさをおそらくは初めて味わった、そんな年だった。

各ドラマのスタッフ&キャストがさまざまな制約の中で作り上げ、視聴者も新作ドラマを視聴できる幸せをかみ締めながら見たのが、まさに今回取り上げる7月クールのドラマである(4月にスタートして、7月以降に再開したドラマも一部含む)。そんな特別なドラマたちを、関東約55万台超の東芝レグザ視聴データを基に毎週発表している「録画視聴ランキング」で振り返ってみる。まずは地上波ドラマの放送回ランキングである。ポイント数は1位を100とした場合の割合を表している。

1~30位まで、圧巻のTBS独占である(ちなみにTBS以外の最高位は、フジテレビの「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」第4話の33位であった)。上位を占めた「半沢直樹」 「私の家政夫ナギサさん」 「MIU404」の3作品は、どれも4月スタート予定だったものが約3カ月延期されて始まったドラマである。

中でも日曜9時の「半沢直樹」は言わずと知れた2013年の大ヒットドラマの続編で、新シリーズ放送が発表されてからずっと期待の声が絶えなかった作品だから、この成功もある程度は予想されたが、「詫びろ詫びろ詫びろ!」「おしまいDEATH!」といったセリフが流行語となるなど、社会現象化するほどの大きな盛り上がりとなった。世帯視聴率でも初回から最終回まですべて総合第1位を獲得。一般的に両立しにくいとされる世帯視聴率、録画視聴の両部門で圧倒的な強さを見せ、世代・性別を超えたすべての層から支持された。こうした作品は大変珍しい。前作同様、テレビドラマの歴史に残る作品になったと言っていいだろう。

そして、録画視聴ならではの盛り上がりを見せたのが「私の家政夫ナギサさん」である。近年録画視聴では安定した強さを発揮しているTBS火曜10時枠の作品で、大森南朋演じる鴫野ナギサ=家政夫・ナギサさんに“癒やされる!”という声も多く聞かれ、「おじきゅん」なる言葉も生まれたが、そうした恋愛パートを別としても、働く女性のリアリティーやあくまでフラットなジェンダー感など現在的なテーマがビビッドに反映されていて、女性たちの支持を得た。録画視聴では「半沢直樹」一強の一角に食い込む健闘を見せた。

そしてこちらも好調に推移したのが、金曜10時の「MIU404」。野木亜紀子のオリジナル脚本で、綾野剛&星野源主演、さらに「アンナチュラル」のスタッフが再集結したということで、こちらも開始前から期待が集まっていたが、それにたがわぬサスペンスフルな展開で最後まで息をつかせなかった。キャストも魅力的で、岡田健史や麻生久美子、橋本じゅんらレギュラー陣のほか、ゲスト出演の俳優たちにも目を奪われた。特に菅田将暉が登場してからは、ドラマの様相が変わった。

ということで7月クールは、全く傾向の違うTBSの3作品が上位を席巻。ドラマファンを満足させてくれたクールだったと言えるだろう。続いて、夏ドラマにおける全話の平均値ランキングを見てみよう。

「半沢直樹」「私の家政夫ナギサさん」「MIU404」に続いて4位に入ったのは、「私の家政夫ナギサさん」と同じく火曜10時枠の「おカネの切れ目が恋のはじまり」。不測の事態により、全4話で終了することになってしまったが、コンスタントに高ポイントを獲得して、高順位でのランクインとなった。以下、5位と6位には「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(フジテレビ)と「BG~身辺警護人~」(テレビ朝日)、7~9位には「ハケンの品格」はじめ日本テレビの3作品と、それぞれの局の看板ドラマが並び、今クールドラマの充実ぶりを示している。

さらに、「ドラマ継続率(最終回のポイントを初回のポイントで割った割合)」のランキング。初回より最終回のポイントが高い(=最終回継続率が高い)作品ほど、内容に対する満足度が高いのではないかという仮説に基づいた検証だ。まずは、ゴールデン/プライムタイム枠ドラマの継続率ランキングである(10月6日時点で最終回が放送されていない作品を除く)。

上位3作は平均値ランキングと変わらず。3作品とも高い水準でスタートしながら、最終回に向けてさらに支持を集めていった作品だったということが分かる。注目すべきは絶対王者「半沢直樹」をしのいで、「私の家政夫ナギサさん」がトップに立っていることだろう。「半沢直樹」の145%というのも相当高い数字だが、150%超というのは驚異的である。しかも初回がそれほど低かったというわけでもない(放送回ランキング29位)。「半沢直樹」がなければ、クールの話題を独り占めにするだけの話題作となっていたことだろう。そして、録画視聴ポイント自体は低かったものの、継続率では5位に食い込んだのが貫地谷しほり主演の「ディア・ペイシェント~絆のカルテ~」(NHK)。モンスターペイシェントをテーマにした抑えたタッチの医療もので、派手さはないが確かに結末が気になるドラマではあった。

次に、深夜時間枠ドラマの継続率ランキング。

コロナ禍において、深夜帯ドラマはゴールデン以上に苦戦を強いられた。大きな成功作はなく、継続率が100%を超えたのは3作にとどまった。トップに立ったのは、新川優愛主演の「ギルティ~この恋は罪ですか?~」。いわゆるドロドロ系のラブサスペンスで、4月にスタートし3話まで放送したところで中断、約2カ月後に放送再開というハンデがありながら、最終回まで興味をつないだ。2位の「妖怪シェアハウス」は、小芝風花主演の夏らしい妖怪コメディー。3位の「13(サーティーン)」は、桜庭ななみ主演でイギリスのサスペンスドラマをリメークしたもの。

10月以降、一応今まで通りのスタイルで連続ドラマが放送されている。「この恋あたためますか」など、注目作や話題作も多くラインアップされていて楽しみな限りだ。。今後もTBSの一人勝ち状態が続くのか。何より、新しいドラマが放送され続けていくことを願わずにはいられない。

文/武内朗
提供/東芝映像ソリューション株式会社