「“世界の皇帝様”になったつもりの習近平」失敗を期待する冷ややかな人も中国共産党には多い

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中国問題に詳しい評論家の石平(せき へい)氏が10月28日(水)、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。このところの中国・習近平政権の動きについて解説した。

習近平国家主席=2020年6月22日 写真提供:時事通信

習近平がとんでもない失敗を犯すことを心のなかで面白くみている勢力もいます

辛坊)それにしても最近、中国のやり方が目に余ると言いますか、日本海にある大和堆という好漁場をたくさんお魚とかイカとかカニとか獲れるところに、去年辺りまでは北朝鮮の船がたくさん来ていたというニュースがありましたが、今年は北朝鮮の船が全然こなくて、代わりに中国の漁船が大挙して押しかけているという話なのですが、背景には何があるのですか。

石平)背景には習近平政権は去年辺りから、とにかく、昔の中国は戦略性があって、例えばアメリカと対抗するときにはできるだけ日本といい関係をつくり、あるいは、西側と対抗するときにはアジア諸国といい関係をつくるのですが、最近は無闇に敵をあちこちでつくり、アメリカと対抗しているうちにインドとも紛争を起こすでしょう。オーストラリアも敵に回して、日本に対してもそういう高圧的な態度を取る。戦略性と冷静さを失っています。

辛坊)これだけ経済的にも、軍事的にも大きな国になって、要するにその辺り一斉に敵に回しても大丈夫だと思っているということですか。

石平)そういう判断は、おそらく最高指導者の習近平さんにあるかもしれません。要するに、彼からすれば「世界中の各国が自分に盾突くことは許されない」「中国はいちばん偉い国になった」という妄想があるんです。国内で天下無敵ですから、みんな彼に従いますから、たぶんそういう気分になるんです。

辛坊)いま、「国内で天下無敵」とおっしゃいましたが、一部の情報によると「習近平さんはアメリカも敵に回してオーストラリアもインドも日本も、ということになって、あるいは東南アジア諸国も敵に回してちょっとやりすぎで、このまま習近平氏をトップに据えておくとまずいんじゃないの」と思う有力者が中国にいるという説もあるのですが、どうですか。

石平)それは、いっぱいいます。特に彼の対外政策が、明らかに中国を孤立化させて、中国全体が四面楚歌のような状態になっているから、憂慮している人、心配になっている人はいます。例えば、中国首相の李克強さんにしても、あるいは穏健派、あるいは開明派、西側と仲良くすることを主張する人々など、彼のやり方に対して不平不満を持って反対する人も多いですけれども、しかし、それがいまの時点では習近平を引き下ろすような反習近平勢力の結集にはまだなっていないです。

辛坊)となると、中国国内で習近平さんの力というのは、現状において絶対的に強いということですか。

石平)絶対的とはまだ言えませんが、いちばん強いです。習近平一強。例えば、李克強首相もいろいろな意味で習近平に対して異議を唱える、違うことを考え、主張します。それでも李克強さんたちが習近平さんを引き下ろす力もないというような状況です。逆に、いま中国共産党のなかで、習近平がやっていることを冷ややかにみて、習近平のさらなる失敗を期待する人も多いです。

辛坊)へえ。

石平)要するに、彼が失敗すれば失敗するほど、いずれ早めに潰れるでしょう。

辛坊)ええ。

石平)彼を助けるというよりも、彼がとんでもない失敗を犯すことをみんな心のなかで面白くみている勢力もいます。

香港のホテルに開設された中国の治安機関「国家安全維持公署」の看板(中国・香港)=2020年7月8日 写真提供:時事通信

習近平さんは世界の皇帝様になったつもりです

辛坊)毎度同じ質問で恐縮なのですが、石平さんは中国に入ると逮捕されますよね。

石平)とてもそんなところに行けるわけがない。香港でもちょっと危ないかなと思います。

辛坊)それで言うと、中国に対して厳しい意見を言っている日本人が香港に入ったとき、例の香港国家安全維持法で逮捕されるという可能性はあるんですかね。

石平)香港国家安全維持法第38条を厳密に、素直に読めばみんな逮捕されてしまいます。

辛坊)石平さん、笑いながら言わないでくださいよ。

石平)もし、その文字通りに解釈されれば、香港に行かずとも日本でも逮捕されてしまうかもしれません。

辛坊)ええ。

石平)中国の香港政策を批判したことで法律に触れたということになってしまいます。

辛坊)なっちゃうんだ。日本の警察はそれで逮捕することはないから、日本にいる限り大丈夫ですけれども。

石平)実際はないですけれども、あの法律はすごいですよ。

辛坊)めちゃくちゃですよね。

石平)域外適用ということ。どの国の法律でも、そこの国へ行かなければ法律が適応される対象にならないんですけれど、国家安全維持法の場合、中国、香港へ行かなくても法律に適応されてしまうんです。もう、習近平さんは世界の皇帝様になったつもりです。

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