アミノ酸でウイルス抑制へ 長崎大と製薬会社 臨床研究

 長崎大(長崎市)と製薬会社ネオファーマジャパン(東京、NPJ)は29日、新型コロナウイルス感染症の患者に天然に存在するアミノ酸を投与して、感染抑制効果を調べる臨床研究を始めると発表した。試験管内で細胞の感染試験をした結果、ウイルスの増殖を防ぐ効果を確認したという。
 同大などによると、アミノ酸は、NPJが研究・開発・製造する5-アミノレブリン酸(5-ALA)。ヒトや動物、植物の細胞内で作られ、食品にも含まれている。細胞内のミトコンドリアの活性化や抗酸化作用、免疫力向上などの機能があり、各種ヘルスケア製品に活用されている。
 同大熱帯医学・グローバルヘルス研究科長の北潔教授らとNPJは、2009年から5-ALAを活用したマラリア治療薬の開発に取り組んでおり、今年3月末から新型コロナ対策で実験を開始。ヒトと動物の細胞を使い、一定濃度以上の5-ALAはウイルスの増殖を完全に抑えたという。
 臨床研究は製薬会社が資金提供する特定臨床研究。長崎大学病院など5病院が共同で軽症や中等症の患者50人に2週間、投与する。
 北教授は「感染症、熱帯病研究の伝統があり、プラネタリーヘルス(地球の健康)を目指す長崎大の使命として、5-ALAで世界の新型コロナウイルス感染症対策に貢献したい」としている。

 


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