【おんなの目】 トビイロウンカ

 なんということをしてくれるのでしょう! トビイロウンカ!

 春先から田起こしをし、苗を育て、田に水を張り、田植えをする。天候に気を配り、暑さや台風にも備え、大切に育てた稲。私達の命を支える米。世界で最も重要な食糧穀物。

 夏頃から見慣れた田んぼの様子が変だった。稲が白く乾いて細くなり、薄のようになって倒れているのだ。市内循環バスに乗ると、白く坪枯れした田を沢山目にした。

 農家の人に、トビイロウンカという稲にとっての害虫の仕業だ、と教えてもらった。稲の茎に取り付いているトビイロウンカも見た。体長5ミリ程度で羽を持っている。色は薄いこげ茶色。トビイロウンカはどこから来たか? トビイロウンカは、羽はあるが長距離は飛行できない。梅雨時に東シナ海で発生する南西風に運ばれ、約一日半かけて中国大陸から九州、西日本に到達する。雌雄あり収穫期の十月までに第三世代まで繁殖する。

 トビイロウンカは稲の茎に取り付き汁を吸う。栄養分を吸い取ってしまうから、稲は成長できずに枯れてしまう。

 あぜ道で一緒に溜息をついた。収穫量は半分に満たないと言う。来年は、対策を立てて実の重い、頭を垂れる黄金の稲穂を刈り取らねば。

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