ふるさと納税返礼品サイトから見えること(データアナリスト・渡邉秀成)

2020年も終盤になり各家庭等で医療費等の領収書を整理をする季節になりました。この季節になるとふるさと納税に関するテレビCM,YouTube広告等が流れ始めます。

そして各地域の返礼品についてYouTube上に動画投稿をする人もふえてきます。
実際、Google Trendsを利用して「ふるさと納税」を検索ワードに指定すると10月下旬から検索数がふえていることがわかります。

このふるさと納税がどのようにして始まったのかについては、
総務省のふるさと納税ポータルサイトに記載*1されています。
【図1 総務省_ふるさと納税サイト】
*1 [https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/about/](https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/about/) 2020107閲覧

 少し長くなりますが引用します。

「多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入りません。」

「そこで、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」
(出典:「ふるさと納税研究会」報告書PDF)、そんな問題提起から始まり、
数多くの議論や検討を経て生まれたのがふるさと納税制度です」

このような理念のもとにふるさと納税制度が始まったのですが、この制度を利用する人の多くは、各自治体が返礼品と用意している商品を目的にしているのが実際です。

そのため自治体間で返礼品競争(言い換えれば「自治体間の税の奪い合い」)が起こりました。Amazonギフト券をふるさと納税返礼品として用意した自治体もあらわれました。

ふるさと納税は本来、今は住んでいないが、自分が生まれ育った自治体に対してなんらかの納税するというのが目的でした。

しかしながらふるさと納税を利用する人の多くは、各種ポータルサイトを利用してお得な返礼品を選択し納税先を決定しているというのが実際です。
オンラインショッピングサイトと買い物するのとほとんどかわりはありません。
 
このように納税制度にさまざまな課題があるのは確かですが、ふるさと納税制度のように全国に大量にある各自治体の返礼品をいろいろな条件を指定して検索ができる仕組みは便利です。

ふるさと納税返礼品を一括検索できるサービスは民間事業者が運営していますが、このような仕組みを公的機関も導入し、全国各市区町村のさまざまな情報を一元管理しウェブ上でさまざまな条件で検索可能状態にしておくというのは、
国民、住民が引越先の決断、子育て条件の比較など、生活に密着した何らかの行動をする際に役立つのではないでしょうか。

以前、当ブログでも記載しましたが、今年のお盆休みは新型コロナウィルス感染症の影響もあり、「お盆休み中の帰省を控えてほしい」等の呼びかけを行った都道府県知事、市区町村首長がいたり、いなかったりします。

このような新型コロナウィルスに限らず緊急事態に対して、都道府県知事、市区町村首長がどのような判断をしているのかを、ウェブサイト上で一覧表形式でのデータ閲覧またはデータ検索できるようにしておくと帰省等に市民の行動判断に役立ちます。

また、地震、台風による水害等が発生した場合に、被災した地域住民を受け入れることができる自治体はどこか?等を検索できるようにしておくことなどは、
市民生活の利便性を高めます。

一次情報を保有する国、都道府県、市区町村が、全国共通のフォーマットを用いて一覧性を確保した情報を公開し、ウェブサイト上で検索可能な状態にすると国民、市民等に役立つ情報は数多くあります。

ふるさと納税返礼品検索サイトは公的機関が保有する情報公開の仕方についてのヒントを与えてくれているような気がします。

国はSociety5.0等の標語でAi、ビッグデータの活用等に力を入れています。
これらデータの活用はとても重要な鍵を握りますが、データ活用の鍵を握るデータ作成段階でのデータ形式の共通化、データ利活用がしやすいデータ生成、公開方法等についても力を入れてもらえたらと思います。

今回はふるさと納税返礼品サイトから公的機関の情報管理・公開について考えてみました。

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