市長コラム

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■第27回“流域治水”を考える
線状降水帯による局地的豪雨、海面水温上昇による台風の大型化など、異常気象が引き起こす激甚災害が全国各地で発生しています。昨年の台風19号で甚大な被害を受けた伊達市では、堤防の嵩(かさ)上げ・強化や内水排除ポンプの改良・増設など、再度被災しない対策を関係機関と協力し進めているところです。
頻発する大規模災害への対策としては、河川の流下能力を拡大すること、すなわち川幅を広げる、堤防を高くする、川底を掘削するなどがありますが、さらに激甚化する災害に対しては、降雨が河川に流れ込む時間をできるだけ遅らせ、洪水時の河川の水位を低下させる必要があります。
そのための対策として、河川水を一時貯留させる“遊水地”を造る方法があります。堤防の一部分を低くして計画的に越流させ、川の水位が下がったら水を戻す。これにより一気に下流に水が流れることを防ぎます。
同様の効果として水田貯留があります。水田は畦畔(けいはん)という水をためるための土手に囲まれているので、降った雨を一旦ためてから排水路に流す構造になっています。ダムのような効果があることから“田んぼダム”ともいわれています。
そして最も大きな効果を持っているのが森林です。森林には、木材や山菜などの生産機能はもちろん、生態系保全やレクリエーションの場の提供など多種多様な機能があります。特に重要なのが水源涵養(かんよう)です。降った雨を下草や土壌中に一時的に貯留し、時間をおいて河川へ流出させるなど、洪水を緩和する機能を持っています。伊達市の約半分は森林です。森を守ることは街を守ることであり、私たちの命と財産を守ることに繋がります。自分事として森林の大切さを考えていかなければならないと思います。
“流域治水”という考え方があります。遊水地、水田貯留、森林整備など、洪水対策を河川だけに頼るのではなく流域全体で防止するという考え方です。現在、国や県、阿武隈川沿川自治体が協力して進めることとしています。伊達市は阿武隈川の県内最下流に位置し、流域治水の効果を最も大きく受ける地域です。これからも関係機関に協力をお願いしてまいりますが、伊達市においても、内水対策の観点からも流域治水対策を強く進めていく必要があると考えています。

須田博行