壁を覆う24万の笑顔 横浜市立中 沖縄戦犠牲者らと同数の写真展示 

©株式会社神奈川新聞社

命の重さを体感する「24万人」の顔写真の展示=横浜市都筑区の市立東山田中学校

 戦没者24万人を実感し、戦争の悲惨さと平和の尊さを自分事として受け止めようと、横浜市立東山田中学校(同市都筑区)が「24万人の顔プロジェクト」と銘打った取り組みを実施している。「24万人」は沖縄本島南部の石碑「平和の礎(いしじ)」に刻銘された沖縄戦などの犠牲者数。新型コロナウイルス感染拡大で修学旅行が延期となる中、事前学習を兼ねた文化祭の展示企画として、生徒が持ち寄った24万人余りの顔写真を校内に掲示。命の重さを体感する場となっている。

 きっかけはコロナ禍だった。長期の臨時休校が明けた6月、校内は閉塞(へいそく)感に包まれていたという。部活動はできず、合唱コンクールなどの行事も見通しが立たない。我慢続きの日々を強いられ、3年生は5月に予定していた沖縄への修学旅行が来年3月に延期された。

 こうした中、来年5月に修学旅行を予定する2年生と共に、平和学習の一環として同プロジェクトをスタートした。2、3年生の計約500人が7月以降、新聞や雑誌などからお気に入りの芸能人やスポーツ選手をはじめ笑顔の写真を切り抜き、今月上旬に24万人分を達成。各クラスの代表らでつくる修学旅行実行委員会の生徒約50人を中心に、図書室前スペースの壁いっぱいに貼り付けた。二上弥生教諭は「これほど多くの笑顔、幸せな人生が戦争で奪われたのだと実感してほしかった」と振り返る。

 また、ガジュマルの木を発泡スチロールなどで手作り。木に宿ると伝承される精霊「キジムナー」の絵をつるし、沖縄の自然や文化も表現している。

 2年生の実行委員長を務める山田未知さん(14)は「想像できなかった24万人の多さに圧倒され、戦争をしてはいけないと具体的に感じられた」、副委員長の賀山皓平さん(14)は「一人一人に家族や友人がいて、その人たちも不幸にしているのだと想像できた」。プロジェクトリーダーの長屋澪奈さん(13)は「私たちは心が麻痺(まひ)し、命を数でしか受け止められなくなっているのではと考えさせられた」と語った。

 コロナ禍の影響で家族や近隣住民にはお披露目できないが、生徒たちは前を向く。3年生の実行委員長、橋本袴汰さん(15)は「修学旅行が延期になったからこそ、24万人の犠牲を身近に考える機会を持てた。今もコロナ禍で多くの人が亡くなっており、身近な命についても目を向けていきたい」と話している。