北海道新幹線札幌延伸でどうなる? 函館本線・山線の旅(1)

2030年度の開業を目指して北海道新幹線札幌延伸のための工事が進められています。開業と共に並行在来線はJR北海道の経営から分離されるため、沿線市町村は鉄道のあり方を協議しています。特に小樽~長万部は乗客が少なく、廃止か存続か揺れ動いています。10年後の札幌開業を控えた沿線の現状を全7回にわたって紹介します。(撮影は全て2020年8月)

山線の旅はこの駅から始まる 「小樽駅」

北海道の鉄道の歴史を今に伝える旧手宮線

小樽は北海道鉄道の発祥地と呼ばれています。1880年に市内の手宮から札幌を結ぶ鉄道が開通しました。当時、日本の鉄道は新橋~横浜(現桜木町)間と大津(後の浜大津)~京都~大阪~神戸間の2路線のみ。北海道開拓が重要視されていたことが伺えます。

ガラスの街らしく、ランプが出迎えてくれる

小樽駅は1903年6月28日に「小樽中央駅」として開業しました。稲穂駅、高島駅などに改称され、1920年7月15日に現在の小樽駅に改称されました。 現駅舎は1934年12月25日に改築。2006年3月に小樽駅本屋とプラットホームが国の「登録有形文化財」に指定されています。

山線は全線非電化単線

小樽から札幌方面は電化・複線なのに対し、小樽~長万部の区間は「山線」と呼ばれ、非電化・単線のまま。かつては札幌~函館を結ぶ「特急北海」や「急行ニセコ」が走っていましたが、今は普通列車が1日数本運行するローカル線になっています。いさりび鉄道(五稜郭~木古内)のようにJR貨物が通過することもないため、第三セクターの存続も難しい状況です。

出発前に小樽の街を散策

いきのいい掛け声が響き渡る小樽三角市場

山線の旅を始める前に小樽の街を散策します。まずは、小樽駅のすぐ隣にある「小樽三角市場」に立ち寄ってみました。戦後まもなく小樽駅前に7~8軒の露天商が店を出したのが始まりと言われています。その後、出店者が相次いで朝市に発展しました。市場では新鮮な海産物を販売するほか、小樽の味覚を味わえる食堂が立ち並んでいます。

ワンコインの「ほたてめし」は朝食に最適

「鉄道の旅情を感じながらリーズナブルに美味しいものを味わいたい」という人には、ワンコインで買える小樽駅の駅弁「ほたてめし」はいかがでしょうか。列車で食べるのもよいですが、散策の途中にベンチに腰掛けて食べるのもおすすめです。

日本で3番目の鉄道として開通

鉄道ファンなら是非行ってほしいのが、北海道の鉄道の歴史が始まった旧手宮線跡です。1985年11月5日に全線廃止された後も鉄路が残され、功績が称えられています。

北浜橋からの眺めは小樽運河の隠れスポット

旧手宮線を海側に向かって歩くと、小樽運河にたどり着きます。運河は大正時代に小樽港で取り扱う荷物を倉庫近くまで運ぶために建設されました。一時は埋め立てが検討されましたが、古き時代の面影を残す観光資源として整備され、多くの人が訪れています。浅草橋街園からの光景が有名ですが、もう少し西に進んだ北浜橋から見る運河も最高。たくさんのボートが停泊し、運河らしさを色濃く残しています。

小樽駅から旅を始める

小樽~長万部までは140.2km。18の駅があります。かつて有人駅だった多くの駅が無人駅になっています。新幹線停車が決定して生まれ変わろうとする町がある一方で、鉄道の廃止により過疎化に拍車がかかると危惧する町も。小樽駅から列車に飛び乗り山線の旅を始めました。

文/写真:吉田匡和

【次回】北海道新幹線札幌延伸でどうなる? 函館本線・山線の旅(2)
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