3チームとも弱点露見の混戦CS争い…専門家が「ロッテ有利」と断言するワケ

CS進出を賭けた激しい2位争いが展開されている【写真:荒川祐史】

18年まで2年間ヤクルトでコーチを務めた野口寿浩氏が解説

クライマックスシリーズ(CS)出場をかけたパ・リーグの2位争いが佳境に入ってきた。31日はソフトバンクが西武に11-2で大勝。ロッテは楽天に6-3で逆転勝ちした。2位ロッテに対し、2ゲーム差で3位西武、2.5ゲーム差で4位楽天が追う三つ巴の戦い。残り1週間の戦いで、混戦を抜け出すのはどのチームか――。現役時代にヤクルト、日本ハム、阪神、横浜でプレーし、2018年まで2年間、ヤクルトでバッテリーコーチを務めた野球評論家の野口寿浩氏は「ロッテが有利」だと予想し「ソフトバンクを倒せるという淡い期待を抱けるのもロッテ」と話した。

残れされた試合はロッテが7試合、西武が8試合、楽天が6試合。3年ぶりのリーグ優勝を決めたソフトバンクに大差をつけられ、ロッテが貯金3、西武が借金1、楽天が借金2という団子レースの状況を、野口氏はこう見ていた。

「この3チームはそれぞれ、今年抱えてきた問題が今、顕著に出ている。ロッテは打線のつながり。西武は高橋光成を除く先発と勝ちパターン以外の投手陣。そして、楽天はリリーフ陣。この日負けた2チームは、完全にこの問題が出た。楽天はリードを守れず、西武は大量失点。勝ったロッテも前日の30日は打線がまったくつながらなかった」

そんな状態の中、残り1週間で問題を改善できる可能性があるのは…。野口氏は、筆頭にロッテを挙げた。

「ロッテはこの日の勝ちがきっかけになりやすい。リリーフ陣は後ろの3人が揃っているし、現状有利かもしれない。西武は山川が抹消されたが、代わりになる選手の頑張り次第ではその穴は埋められる。でも、この日みたいに2桁失点してしまうと、2桁取り返す力はない。だから、投手陣がまずは試合をつくらないといけない」

CSでソフトバンクに勝てるとしたら? 「ロッテが一番嫌だと思っているはず」

では、どのチームならCSでソフトバンクを倒せる可能性があるのだろうか。野口氏の予想はやはりロッテ。今季ここまでソフトバンクに11勝9敗1分けと、5球団で唯一勝ち越している球団だ。

「正直、ホークスに穴はない。レギュラーの代わりに出た選手も打つし、投手も抑える。月間22勝してレギュラーシーズンをフィニッシュするチーム。間違いなく力は抜けている。短期決戦の怖さ、運がないと、どのチームが出ても厳しい」

それでも、ロッテなら日本シリーズに出場できる可能性が残されていると野口氏は予想する。

「淡い期待を持てるならロッテ。ここ数年、ソフトバンクに対して相性が良く、コロナで選手が入れ替わった時も、打線が底の状態だったが、そんな時でさえ3試合で1勝した。相性の良さを発揮できれば、運にも頼らないといけないが、可能性はゼロではない。ソフトバンクも、ロッテが一番嫌だと思っているはずだ」

ロッテは今季、試合の中で1つビッグイニングをつくり、大量点を奪って勝つというパターンが少なくなかった。この日も2点ビハインドの6回に一挙5点を奪って逆転。こうした持ち味が発揮できれば、可能性は残されているという。

「ロッテは今季、ビッグイニングをつくり、リリーフ陣が抑えるという試合を戦ってきた。最終戦までに打線のつながりを調整し、一番いい状態でクライマックスシリーズを迎えられれば可能性はある。皆がバカバカ打たなくても、ここぞという時に集中して、続いていけるようになればいい」

2010年にはリーグ3位ながら、クライマックスシリーズを勝ち上がり、日本シリーズで中日を下して日本一に輝いているロッテ。そんな下克上の戦いを再現できるのか――。残り1週間となったペナントレース、そして11月14日から始まるクライマックスシリーズから目が離せない。(Full-Count編集部)

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