インディーズ映画の巨匠が描く愛すべきゾンビ映画「デッド・ドント・ダイ」

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ライトセーバーよろしくナタを振り回すアダム

前作「パターソン」(2016)でかけがえのない日常を優しく見つめたジャームッシュが最新作のテーマに選んだのは、なんとゾンビ! ジャームッシュ・ファンはもちろん、ゾンビ映画好きにもたまらない小ネタ満載の話題作がブルーレイ&DVDで登場します。

イントロ&ストーリー

米インディペンデント映画の巨匠、ジム・ジャームッシュによるゾンビ・コメディー。生前に依存や執着したコーヒーやWi -Fiを求めてさまようゾンビと生き残った人間との戦いを描く。舞台は、警察官が3人しかいないアメリカの田舎町、センターヴィル。

ある日、ダイナーで2人のウエイトレスが内臓を食いちぎられる怪事件が発生する。巡査のロニー(アダム・ドライバー)はゾンビ犯行説を唱えて警察署長のクリフ(ビル・マーレイ)を唖然とさせるが、2人は墓地から何かが這い出した穴を発見する。

いつしか町はゾンビで溢れかえり、クリフとロニーは町民を守るという使命感に駆られ、大量のゾンビに捨て身で立ち向かっていく。ストーリーの鍵を握るテーマ曲「デッド・ドント・ダイ」は、ジャームッシュの依頼を受けて、グラミー賞アーティストのスタージル・シンプソンが書き下ろしたもの。2019年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、驚きをもって迎え入れられた。

オンリーワンなゾンビ映画「デッド・ドント・ダイ」ココに注目!

1.ジャームッシュ×ゾンビ

ゾンビが集まる墓場で演出中のジャームッシュ監督

ソンビはその時代における社会が抱える問題のメタファー。ジャームッシュがこのゾンビ映画の着想を得たのは、スマートフォンの画面に夢中になって、夢遊病者のように街なかをさまよう"スマホ・ゾンビ"に気づいたときだったという。

そこから、ゾンビに襲われた人間が、生前に依存や執着したものを求めて蘇るというルールを設定した。劇中で最初に墓から蘇ったゾンビは、ダイナーへ直行してウェイトレスたちを食い殺し、人間だったときに愛飲していたコーヒーを飲もうとするがうまく飲めず、さまよい始める"コーヒー・ゾンビ"。

古典を継承し、ゆったりとした動きのゾンビたち

その他、白ワインを求める"シャルドネ・ゾンビ"や"Wi-Fiゾンビ"などが町を埋め尽くしていく。近年のゾンビは動きが速いタイプも存在するが、本作のゾンビはゆったりした動きで怪力という古典を継承。ジャームッシュ映画特有のオフビートな間を、ゾンビも無理なく表現できる相性の良さだった。

2.ジャームッシュ×「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」にも登場するポンティアック・ルマン

「恐怖城」(1932)や「ブードゥリアン」(1943)などのクラシックなゾンビ映画も好んでいるというジャームッシュだが、本作の製作中に最も影響を受けたのは、ジョージ・A・ロメロ監督の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」(1968)だったという。

初めて肉を貪るゾンビが登場したこの作品と同様に、本作のゾンビたちも口の周囲を血まみれにして肉を貪る。その他、墓地の光景など同作へのオマージュは多々。セレーナ・ゴメズが運転する、バルメット・グリーンの塗装を施した1968年のポンティアック・ルマンも、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」に登場する。

3.ジャームッシュ×アダム・ドライバー

信頼関係バッチリのジャームッシュ監督とアダムPhoto by Paul Bruinooge/PatrickMcMullan via Getty Images

「パターソン」の主演に続く、二度目のタッグとなる。ジャームッシュは、「パターソン」の撮影中に、本作の"無表情な巡査"にアダムをイメージしながら脚本を書き、その人物にパターソンをもじったピーターソンという名前をつけたという。

そのクリフ・ピーターソンは、町に起きた異変をいち早く察知し、「まずい結果になる」と予言めいた言葉を繰り返す。カーラジオから流れるカントリーソング"デッド・ドント・ダイ"に、ビル・マーリーが演じる警察署長が「なんで聴き覚えがあるんだろう?」と訝ると、「テーマ曲ですから」と意味深な言葉を返す。

ライトセーバーよろしくナタを振り回すアダム

まるで「スター・ウォーズ」のカイロ・レンのように、ライトセーバーではなくナタを振り回す見せ場を経てからの終盤で、観客は彼の驚きの"役割"とともに、ジャームッシュがこの俳優を溺愛していることを知らされる。

4.ジャームッシュ×常連キャスト

映画監督としてのキャリアが約40年になるジャームッシュ。それを祝うかのように、豪華俳優たちが参加し、肩の力を抜いた(ように見える)芝居を見せている。カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞した「ブロークン・フラワーズ」(2005)に主演した大ベテランのビル・マーレイは、アダム・ドライヴァーとともにゾンビに立ち向かう警察署長役。

同作に出演したクロエ・セヴィニーも警察署員役で出演。「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」で現代に生きる吸血鬼を演じたティルダ・スウィントンや、スティーヴ・ブシェミにとっては、本作が4本目のジャームッシュ組となる。

10年ぶり4作目! ビル・マーレイ
14年ぶり2作目!クロエ・セヴィニー
6年ぶり4作目! ティルダ・スウィントン
16年ぶり4作目! スティーヴ・ブシェミ

トム・ウェイツ、RZAら常連ミュージシャンの他、長年のパートナーであるサラ・ドライバーは「ミステリー・トレイン」(1989) 以来の出演。"コーヒー・ゾンビ"をイギー・ポップと熱演している。片や、曲者俳優のケイレブ・ランドリー・ジョーンズや、ポップスターのセレーナ・ゴメスなど、初参加となる若手も常連に負けじと爪痕を残している。

16年ぶり2作目!RZA
30年ぶり4作目! サラ・ドライバー
16年ぶり4作目!トム・ウェイツ
初参加!ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ(左)、ダニー・グローヴァー(右)
初参加!セレーナ・ゴメス

グラミー賞歌手スタージル・シンプソンの劇中歌「The Dead Don’t Die」CDジャケットイラストのステッカー封入!

覆面アーティスト“ロッキン・ジェリービーン”がイラストとロゴを描き下ろし、デザイナーの大島依提亜がアートワークを担当!

「デッド・ドント・ダイ」ブルーレイ
2020年11月4日(水)発売

販売:バップ
価格:4,800円+税、DVD=3,800円+税
特典:デジパック仕様、スリーブケース※、テーマ曲「The Dead Don’t Die」CDジャケット柄ステッカー付※
※=ブルーレイ限定

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ARTWORK ©2019 FOCUS FEATURES LLC.

その作風は唯一無二〝ジム・ジャームッシュ〞というジャンル映画 - SCREEN ONLINE(スクリーンオンライン)