スーパー耐久岡山:Gr-1決勝はD’station Vantage GT3がポール・トゥ・ウイン。1年ぶりの勝利を岡山で決める

 11月1日、ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦『スーパー耐久レースin岡山』のGr-1決勝レースが、岡山国際サーキットで行われ、最高峰ST-Xクラスは777号車D’station Vantage GT3(星野敏/藤井誠暢/近藤翼)がポール・トゥ・ウインで今季初優勝を手にした。

 例年、スーパー耐久シリーズの最終戦の舞台となっていた岡山ラウンド。今シーズンは新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けてシリーズの開催日程が変更となったことに伴い、全6戦のシーズンの折り返しとなる第3戦として開催された。

 10月31日に行われた公式予選でST-Xのポールポジションを獲得したのは、今季これまで不運が続いてランキング6位の777号車D’station Vantage GT3。

 ST-Zクラスは47号車D’station Vantage GT4、ST-TCRクラスは290号車F・Link Home CIVIC TCR、ST-1クラスは28号車ROOKIE Racing GR SUPRA、ST-2クラスは32号車ROOKIE Racing GR YARIS、ST-3クラスはエアーバスター WINMAX RC 350 TWSがクラス最上位からスタートすることとなった。

 13時30分、気温17度、路面温度は28度、天候は快晴というコンディションのなか、6クラス全28台による決勝がスタートした。

■ST-X:圧倒的な速さを見せつけたD’station Vantage GT3

 ポールポジションスタートの777号車D’station Vantage GT3はホールショットを守るも、パイパーコーナーで16号車Porsche 911 GT3Rの上村優太に先行を許してしまう。

 ジェントルマンドライバーの星野敏がスタートを務める777号車D’station Vantage GT3だったが、2周目に31号車DENSO LEXUS RC F GT3の嵯峨宏紀、888号車HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3の高木真一といったプラチナドライバーらにかわされ、ポジションを4番手まで落としてしまう。

 6周目、3番手を走行中の888号車HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3の高木真一がヘアピンコーナーで激しくクラッシュし、セーフティカーが導入される。高木は意識があるとのことだが、ドクターカーで搬送された後、ドクターヘリで近隣の大学病院へ移送された。

 このアクシデントでセーフティカーが長時間導入されることとなり、レース中の乗車時間が50分間以上と定められているジェントルマンドライバーがスタートを務める777号車D’station Vantage GT3、9号車MP Racing GT-R、81号車DAISHIN GT3 GT-Rにとってはレースを有利に進めることができる状況となった。

 この状況を踏まえて、各クラスでセーフティカー導入中にピットに入る車両も現れるなか、ST-Xクラスでは31号車DENSO LEXUS RC F GT3が1回目ピット作業を終え、嵯峨から永井秀貴にドライバーチェンジを行った。

 セーフティカー先導のまま8周が過ぎたのち、14周目にレースは再開した。

 ST-Xクラス走行中の全車が1回目のピットを終えた35周目、31号車DENSO LEXUS RC F GT3がトップに浮上するが、ポールシッターの777号車D’station Vantage GT3の藤井誠暢が約5秒速いペースで追撃を開始し、41周目に永井を捉えると首位を取り戻した。

 57周目に31号車DENSO LEXUS RC F GT3が2回目のピットインを行うと、9号車MP Racing GT-Rの柴田優作が2番手に浮上する。しかし、トップの藤井はハイペースでの周回を重ねており、9号車とのギャップを44秒まで広げていた。

 777号車D’station Vantage GT3は70周目にピットに入り、近藤翼にドライバーチェンジを行うと2番手でコース復帰。

 最後まで2回目のピットを引っ張った9号車MP Racing GT-Rは79周目にピットを終えるも、777号車D’station Vantage GT3、そして81号車DAISHIN GT3 GT-Rの藤波清斗に先行され3番手となった。

 777号車D’station Vantage GT3は2番手に42秒という圧倒的なギャップを築いたまま、109周目にトップチェッカーを受け、ポール・トゥ・ウインで2019年シーズン最終戦岡山以来の今季初優勝を手にした。

ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦『スーパー耐久レースin岡山』ST-Xクラス表彰台
星野敏/藤井誠暢/近藤翼(D’station Vantage GT3)
クラッシュしローダーで運ばれる888号車HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3

■初参戦から約1年、ようやく掴んだST-Zクラス初優勝

 FIA-GT4マシンが参戦するST-Zクラスは3番グリッドスタートの3号車ENDLESS AMG GT4が好スタートを決めて1コーナーでトップに浮上した。

 その直後の2コーナーで2号車ケーズフロンティア SYNTIUM KTMに20号車SS/YZ Studie BMWが追突、2台は二輪用シケインまで滑った末にグラベル上で停車してしまう。

 2号車ケーズフロンティア SYNTIUM KTMはすぐにコース復帰を果たすも、20号車SS/YZ Studie BMWはピットでの修復作業に40分間を費やすこととなり、優勝戦線からの離脱を余儀なくされた。

 これでトップの3号車ENDLESS AMG GT4以下、2番手に500号車5ZIGEN AMG GT4、3番手で23号車TKRI 松永建設 AMG GT4、4番手で47号車D’station Vantage GT4が続く形となった。

 6周目、ST-Xクラス888号車のクラッシュでセーフティカーが導入されると、11周目にクラストップの3号車ENDLESS AMG GT4と2番手に500号車5ZIGEN AMG GT4が1回目のピットインを済ませる。これで14周目にセーフティカーが解除されるとトップは23号車TKRI 松永建設 AMG GT4となった。

 64周目、ST-Zの各車も2回目のルーティーンピットを終えると、500号車5ZIGEN AMG GT4が首位に浮上、2番手に3号車ENDLESS AMG GT4が続き、セーフティカー導入中に1回目のピットを済ませていた2台がレースをリードする形となった。

 レースも終盤になり、上位2台が1分40秒台で周回を重ねるなか、3番手の47号車D’station Vantage GT4の織戸学が1分38秒台を連発して急接近。ハイペースで追い上げる織戸は100周目に、3号車ENDLESS AMG GT4を捕らえると2番手に浮上した。

 織戸はさらに首位500号車5ZIGEN AMG GT4をかわすべく、1周で1.5秒以上ギャップを縮めるもチェッカーまでにわずか0.456秒及ばず。

 2019年シーズン最終戦岡山にメルセデス AMG GT4を導入し、ST-Zクラスにスポット参戦を果たしてから約1年、500号車5ZIGEN AMG GT4がスーパー耐久 ST-Zクラス初優勝を獲得した。

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 3台がエントリーしたST-TCRクラスは、2番グリッドスタートのポイントランキングトップ、22号車WAIMARAMA KIZUNA Audi RS 3 LMSがセーフティカー中に1回目のピットを済ませたことで首位に立つと2番手290号車F・Link Home CIVIC TCRと接近戦を展開。2台は長きにわたり接戦を繰り広げるも、4.099秒のギャップを築いた22号車WAIMARAMA KIZUNA Audi RS 3 LMSがトップでチェッカーを受けた。

 2台が参戦したST-1クラスは、トップを走行していた38号車ADVICS muta Racing RC F TWSが残り時間6分となった97周目の1コーナーでオーバーランしスポンジバリアに接触。コース復帰を試みる間に、それまで15秒後方にいたROOKIE Racing GR SUPRAが先行すると、そのままトップでチェッカーを受け、GRスープラの岡山国際サーキット初勝利を飾った。

 ST-2クラスは2番グリッドスタートの59号車DAMD MOTUL ED WRX STIが、16秒のギャップを築いて32号車ROOKIE Racing GR YARISとの首位争いを制し、第2戦SUGOに続くST-2クラス2連勝を決めた。

 ST-3クラスは39号車エアーバスター WINMAX RC 350 TWSがポール・トゥ・ウインでこちらもクラス2連勝を決め、チーム、ドライバー、そして車両のポテンシャルの高さを改めて示すこととなった。

 ピレリスーパー耐久シリーズ、次戦となる第4戦『もてぎスーパー耐久 5Hours Race』は11月21〜22日に栃木県のツインリンクもてぎで開催される。

ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦『スーパー耐久レースin岡山』Gr-1決勝 スタート
5ZIGEN AMG GT4(大塚隆一郎/青木孝行/下垣和也/坂本祐也)
WAIMARAMA KIZUNA Audi RS 3 LMS(キズナ/千代勝正/安田裕信/大草りき)
ST-1クラス:ADVICS muta Racing RC F TWSに先行を許すも最後に勝ったのはROOKIE Racing GR SUPRA(蒲生尚弥/豊田大輔/小倉康宏/河野駿佑)
DAMD MOTUL ED WRX STI(大澤学/後藤比東至/石坂瑞基)
エアーバスター WINMAX RC 350 TWS(大島和也/冨林勇佑/石井宏尚)
ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦『スーパー耐久レースin岡山』ST-Zクラス表彰台
ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦『スーパー耐久レースin岡山』ST-TCRクラス表彰台
ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦『スーパー耐久レースin岡山』ST-1クラス表彰台
ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦『スーパー耐久レースin岡山』ST-2クラス表彰台
ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦『スーパー耐久レースin岡山』ST-3クラス表彰台
ピレリスーパー耐久シリーズ2020第3戦『スーパー耐久レースin岡山』Gr-1決勝 スタート

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