ホークス工藤監督、CSに向けた抜かりない準備 二の矢、三の矢で日本S4連覇へ

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:荒川祐史】

ドラ2新人捕手・海野が1軍初スタメン「ベンチで見ているのと、実際にマスクをかぶるのとは違う」

■西武 3-1 ソフトバンク(1日・メットライフ)

既に3年ぶりのリーグ優勝を決めているソフトバンク。2位争いはロッテ、西武、楽天が2.5ゲーム差内にひしめく大混戦で、クライマックスシリーズ(CS)の相手がどこになるかは予断を許さないが、鷹は短期決戦へ向けて着々と態勢を整えている。

1日に敵地メットライフドームで行われた西武戦では、周東がベンチ入りメンバーから外れた。前日の10月31日の同カードで盗塁できず、日本記録を更新するとともにメジャー記録をも上回った連続試合盗塁が「13」でストップしたばかり。工藤公康監督は「故障ではないが、トレーナーの報告によると、足に張りがある。ここでケガをするのはよくない。記録は途切れてしまったが、この機会に休みにしようと決めた」と説明した。

プロ3年目で24歳の周東は、昨年は代走のスペシャリスト。今季は9月下旬頃からスタメン1番に固定され、チームが一気に2位を引き離す原動力となった。しかし、シーズンを通してレギュラーとして活躍した経験はなく、当然疲労が蓄積している。適度の休養を取り、CSへ向けて体調を整えることができるのなら、記録ストップもマイナス面ばかりではないといえるかもしれない。

また、この日はドラフト2位ルーキーの海野が1軍で初めて先発マスクをかぶった。「1軍の試合に慣れてもらう。もし甲斐君に何かあれば、マスクをかぶらなきゃいけないわけだから。高谷君がリハビリをしている事情もある」と工藤監督。

グラシアル、周東を休ませCSは万全の体勢で挑む

ソフトバンクの捕手陣では、甲斐が断トツの96試合で先発。これに次ぐ18試合の高谷は、古傷の左膝痛で10月12日に出場選手登録を抹消された。故障のリスクが高いポジションだけに、控え捕手の備えは急務なのだ。

試合後、その海野の評価を問われた工藤監督は、「うーん……」としばし言葉を探し、「ベンチで見ているのと、実際にマスクをかぶるのとは違う。1軍の打者の反応を見た経験を、次に生かしてほしい」と答えた。

海野とバッテリーを組んだ先発投手の笠谷は、5回3失点で降板。工藤監督は「いつもは回を追うごとに修正できるのだが、今日はそれができなかった」と指摘し、「試合途中に『リズムを良くしよう』とアドバイスした」と明かした。捕手が普段コンビを組んでいる甲斐であれば、バッテリー間で修正できていたのかもしれない。強肩・強打の捕手として入団した海野だが、リード面は一朝一夕にプロの一流レベルというわけには、なかなかいかないのだろう。

打撃の成長が著しく、外野や一塁手として起用されることが多い栗原も捕手登録で、今季2度、試合途中でマスクをかぶっている。残り4試合を有効に使い、甲斐に万が一のアクシデントが起きる事態も想定しながら、態勢を整えていくことになりそうだ。

前日には、それまで16試合連続、今季チーム最多の34試合で4番を張っていたグラシアルをベンチから外して休ませていた。

開幕当初は故障者続出に悩まされたソフトバンク。優勝と引き換えに、ダメージを負った選手もいる。工藤監督は4年連続日本一を目指し、抜かりなく準備を進めていく。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

© 株式会社Creative2