核禁批准求める意見書 長崎市議会 可決

 長崎市議会は2日、臨時会を開き、日本政府に核兵器禁止条約への早期の署名・批准を求める意見書案を賛成多数で可決した。採決で、全6会派の一つ「令和長崎」(4人)が条約に不参加の政府方針を「理解する」として反対するなどした結果、賛成33、反対4、退席1、欠席1となった。
 同趣旨の意見書は、広島市議会が10月27日に全会一致で可決した。長崎市議会は国連で条約が採択された2017年に全会一致で可決している。田上富久市長は11月中に、松井一実広島市長と共に政府や政党に条約参加を直接訴える予定。今回賛否が割れたことは「非常に残念」と語った。
 意見書は「『核兵器をなくすべき』という人類の意思を明確にした条約だ」として、実効性を高めるにはより多くの国の参加が必要と指摘、政府に核保有国と非保有国の橋渡しを要望した。条約に批准するまでは締約国会議にオブザーバーとして参加することや、同会議の長崎誘致も求めた。
 賛成討論で野口達也議員(市民クラブ)は「唯一の戦争被爆国」である日本は核廃絶に向け「特別の役割と重大な責任を負っている」と強調した。「最後の被爆地」である長崎の議員、市民として「いかなる立場も乗り越えて意見書に賛同すべきだ」と述べた。
 反対討論で東竜也議員(令和長崎)は、核廃絶を願う一方、核保有国が条約に不参加であることを挙げ「実効性を疑問視する。核保有国と非保有国の分断の固定化も懸念される」とした。退席した浅田五郎議員(明政クラブ)は取材に「政府に訴える前に、もっと核保有国に厳しい目を向けるべきだ」と話した。

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