永井博士の遺志を継承 長崎・山里小で平和祈念式

平和の願いを込めた手作りの花輪を手向ける児童ら=長崎市、山里小

 長崎原爆で児童や教職員ら約1300人が犠牲になった長崎市橋口町の市立山里小(山﨑直人校長、662人)で2日、平和祈念式があり、子どもたちが平和への誓いを胸に刻んだ。
 同校には、長崎で被爆した医師、故・永井隆博士の発案で1949年に建立され、原爆の犠牲になった児童らを追悼する「あの子らの碑」がある。平和祈念式は毎年、碑が除幕された11月3日に合わせて開催。今年は新型コロナウイルス対策として、5、6年生が体育館に集まり、他学年は教室で式の中継映像を視聴した。
 各学年の代表12人が手作りの花輪をささげた後、永井博士の孫の徳三郎さん(54)が講話。コロナ禍で感染者を差別する風潮が高まっているとし「博士は『原爆で最も恐ろしいのは人間への信用を失うこと』と言っていた。コロナに心を奪われず気持ちを強く持ってほしい」と児童に語り掛けた。
 児童を代表して6年生の藤本崚雅君(11)が「平和のバトンをつなぐ」と題した作文を発表。「博士が伝えた平和の思いを下級生につなぎたい」と力強く語った。児童らは永井博士の作詞で、同校で歌い継がれている「あの子」を合唱した。

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