ボン・ジョヴィ『2020』激動の2020年、その歴史の証人としての15作目

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 11月3日の大統領選を前に多くのミュージシャンがアメリカの今日を歌にしています。ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーンといったレジェンド達もそれぞれのスタイルで自国を想う作品を発表していますが、アメリカの危機をより明確なヴィジョンで訴えかけるという点で本作は2020年を象徴する一枚になると思います。

 “人生に限界はない”、アルバムは不確実な世の中で多くの試練を与えられた世代への応援歌「リミットレス」からスタート。以降新型コロナのパンデミック危機、ジョージ・フロイド事件とBLM問題、全米で頻発する銃乱射事件と銃規制問題、PTSDで苦しむ帰還兵の社会復帰問題、さらに壁、境界線、嘘、ロシアによるハッキングなどに揺れるトランプ政権などをテーマにした曲で社会を告発していくのですが、一番大切なものは愛だとジョンは釘を刺します。アートワークの写真は1962年のケネディ大統領の写真を模したもの。サングラスに映る星条旗が意味するものは真のリーダーを失った2020年のアメリカに他なりません。

(ユニバーサル・2500円+税)=北澤孝