「生理は『恥ずかしい』もののように」教えられた。私たちが受けた性教育の問題点。

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緊急避妊薬に関する、ある大学生のツイートが話題に。

緊急避妊薬の薬局販売に関する大学生のツイートが、1万7千以上のリツイート、4万3千以上のいいねを集め、話題となっています。

その内容は、ある大学生の女性のインスタグラムのストーリーに対して送られた、友人からのDMでした。

緊急避妊薬の薬局での販売についての記事について、自身の考えを綴った女性の投稿に対し、医学部に通う男性の友人から、「中出しせっくすするの?w」「ピルなんてまだはやない?w」と、緊急避妊薬を使う女性が、避妊をせずに性行為を行なっているという考えを示唆するDMが送られたのです。

リプ欄には、DMを送った友人への批判や、日本の性教育の不足について嘆く意見などが多く寄せられました。

BuzzFeed Newsは、ツイートをしたりんりんさんに取材しました。

このツイートについての記事はこちら(記事URL)から。

BuzzFeed Japanはこのツイートをしたりんりんさんを取材しました。

りんりんさんは大学1年生。普段から社会の中で感じるジェンダーや性に関する様々な違和感や問題について発信しています。

今回のツイートの他にも、りんりんさんは様々な場面で性教育の欠陥を目の当たりにしてきたといいます。

若者世代に存在する性に関する知識の偏りと、現在の性教育の問題点について、大学生の視点から話を聞きました。

「大好きだった制服が、早く脱ぎたくて仕方ないものに」……日常生活に隠れる性被害の実態。

りんりんさんがジェンダーや性に関する問題について積極的に発信するようになるきっかけは、自身の経験にあったといいます。

「受験期の一番辛い12月に、たまたま電車でサラリーマンらしき男性と2人の空間になってしまい、男性の手が股間のあたりで上下に動いているのを見たとき、ほんとうに怖くて、気持ち悪くて、悔しくて、つらくて、すぐにドア付近に移動するくらいでしか抵抗できませんでした。姉や友人にはすぐにメッセージを送れたのに、駅員さんにはもちろん、一緒に暮らす父にも言い出せないまま終わりました」

Ishii Koji / Getty Images

(イメージ写真)

「友人も電車で変質者に遭遇することは普通にあって、『なんで女子高生というだけでこんな目に遭わなければならないのか』という思いが強くありました。可愛くて大好きだった制服が、卒業する頃には早く脱ぎたくて仕方ないものになっていました」

こうした経験から、性関連の問題について意識するようになったというりんりんさんは、2017年ごろから起こった#MeToo運動や伊藤詩織さんの告発などにも影響をうけ、さらに問題意識を高めていきました。

「ピルは危険な薬」?若者世代に存在する、誤った性の知識。

りんりんさんは以前から、若者世代の間で、性に関する知識の偏りがあると感じていたといいます。

「ピルの認識は、若者の間でギャップがあるテーマだと思います。生理痛で苦しんでいた友人は、私が勧めたことをきっかけにピルを飲みはじめました。彼女は『ピルは避妊のためのものだと思っていたので、あなたがいなければ生理痛改善のためにピルを飲むという選択肢を考えなかったと思う』と言っていました」

「また私の姉も、婦人科で正しい説明を受けるまで、ピルは副作用が多い危険な薬だと思っていたようです。ピルに対する認識のギャップを、女子同士でも感じました」

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(イメージ写真)

またりんりんさんの周りには、正しい知識がないことが原因で、妊娠のリスクを軽視してしまっている若者もいるといいます。

「姉は、安全日という概念を半分くらいは信用して参考にするらしく、実際に『この人となら、万が一妊娠したとしても構わない』と思って避妊しなかった経験もあるそうです。避妊に失敗したけれど、『これで妊娠したら結婚のきっかけになるから、アフターピルは飲まない』という選択肢を取る人も少なくないようです。そういう選択肢が必ずしも悪いとは思わないけれど、経済的に苦労する可能性や子育ての大変さを考えると、正しい知識を教える性教育に加えて、家族計画の重要さも教えるべきなのかもしれません」

小学生5年生が「中出し」「セックス」の落書き……危機感を持つべき子どもへのポルノの影響

日本の性教育について「かなり不十分だと思います」と断言するりんりんさん。性教育の不足に関連して思い出す、過去のある出来事があるといいます。

「小学5年生の頃、体育館にある肋木(ろくぼく)の一番上のところに、『中出し』『セックス』『精子』というような言葉が油性ペンで書かれる事件が起きました。犯人は同級生の男子数名だったように記憶していますが、若い体育の男の先生が、涙ながらに叱っていたことを、よく覚えています」

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「小学校高学年にもなれば、まともに教わってもいないセックスについて、ポルノとしてのみ認識して、扱いはじめるのです。子どもたちは社会に溢れるポルノによって勝手に影響されてしまうという現実と、その危険性をしっかり認識してほしいです」

「身体の仕組みは男女分けられて教わり、生理は『恥ずかしい』もののように」教えられた。私たちが受けた性教育の問題点は?

日本の性教育の問題点について、りんりんさんは自身の経験をもとに、こう指摘します。

「性教育に限らずなのかもしれませんが、そもそも私たちは人権についてきちんと教わらなかったように思います。『わたしはわたしで大切な存在である、尊重されるべきである』ということを全く教わらないまま、相手を思いやって仲良くしなさいということだけ教えられても、それは無理があります」

「自分が大切な存在だからこそ、相手も同じように大切な存在だと認められるわけですから。それが基礎になって性教育が展開されていくべきなのだと思います」

Xavier Arnau / Getty Images

(イメージ写真)

「ユネスコの国際セクシュアリティ教育ガイダンスによれば、性教育は5歳から始めるべきだとされています。しかし、私の記憶では性教育は小学校4年生くらいから保健の時間で少しだけ、どこか『下ネタ』的に扱われるものでした。男女の身体の仕組みは男女分けられて教わり、生理は『恥ずかしい』もののように扱われ、修学旅行の説明では女子だけ残されて生理についての説明を受けました。互いのことをまともに知らなければ、理解し合うことも助け合うこともできません」

今必要なのは、「自己責任論」ではなく「対話」。若者がおこせる変化を考える。

りんりんさんは「『話す』ことこそが、若者が主体としておこせる変化」だと、性についての対話の重要性を語ります。

「性に関しては特に、隠されがちで1人で悩んで解決しようとしてしまうことが多いと思います。問題だと思っていることを、私たちはもっと声を出して話していくべきではないのかなと思うのです。日本社会には往々として自己責任論が蔓延していますが、まずは誰かに話して、自分の意見を伝えることで相互理解が深まり、結果的に誰かが責任を押し付けられることも減っていくのではないかと思います。こういう対話の積み重ねは、社会を変えていく力を持っていると思います」

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さらに、性についての対話はパートナーと良い関係を築くためにも不可欠であると強調します。

「性に関する話題は色々ありますが、その一つとしてセックスがあると思います。セックスには性行為という意味と(生物学的な)性別という意味があります。身体のことを知ることで性行為のときにも相手を大切にできるし、性行為の正しい知識を学べば、一歩間違えると人生を大きく変える危険性をもつ性行為を、安全に楽しむことができます。身体や性行為に関する正しい知識はお互いを大切にするための鍵だと私は思います」

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誰にとっても他人事ではないけれど、どこか話しづらい「性」。BuzzFeed Japanは、10月29日(木)から11月4日(水)までの1週間を「性教育ウィーク」として、性にまつわる様々な記事を集中的に配信します。