北海道新幹線札幌延伸でどうなる? 函館本線・山線の旅(4)

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2030年度の開業を目指して北海道新幹線札幌延伸のための工事が進められています。開業と共に並行在来線はJR北海道の経営から分離されるため、沿線市町村は鉄道のあり方を協議しています。特に小樽~長万部は乗客が少なく、廃止か存続か揺れ動いています。10年後の札幌開業を控えた沿線の現状を全7回にわたって紹介します。(撮影は全て2020年8月)

かつての岩内線の分岐駅 「小沢駅」

重厚な跨線橋が残る

銀山駅を出発した列車は稲穂トンネルを抜けて小沢駅に到着します。かつては岩内線(1985年7月1日廃止)の分岐駅で急行も停車していました。地名は「こざわ」と読み、アイヌ話の「サㇰ・ルペシペ」(夏越える沢道)に和名が充てられたという説をはじめ諸説あります。1955年に小沢村と近隣の村が合併して「共和村」となりましたが、廃止された岩内線も含めて町名を冠した「共和駅」は存在しませんでした。

駅舎の前が旧1番ホームで岩内線の列車が発着していました。構内は広く、いくつもの線路が敷かれていたことが確認できます。駅舎は改装されていますが、跨線橋は昔のまま。当時の駅員が描いたらしい観光地の風景画が掲げられており、この絵を見るだけでも小沢を訪れる価値があると思います。

古びたホームに最新型車両が到着

山線には2020年から新型車両H100形「DECMO」が投入されています。電気式気動車システムを採用。ディーゼルエンジンで発電機を駆動し、その発生電力でモーターを回して走行します。山線に投入された理由は明らかにされていませんが、運賃表示が英語でも表示できるため、外国人旅客が多い倶知安・ニセコ方面に配慮したと考えられます。昭和の時代を色濃く残す跨線橋とホームの組み合わせに違和感を覚えました。

小沢に来た人だけが味わえる銘菓

小沢駅そばの末次商店では、名物「トンネル餅」を販売しています。1904年7月18日に開通した稲穂トンネル(小沢~銀山 延長1,776m)の完成を記念して約100年前から発売されています。賞味期限は当日限り。小沢に来た人だけが味わえる銘菓です。

新幹線停車決定 高架工事が進められている 「倶知安駅」

かつての鉄道の要所

倶知安駅は1904年10月15日に開業しました。かつては倶知安機関区が設置され、特急北海、急行ニセコ・らいでんなどの優等列車が停車。倶知安と伊達紋別(室蘭本線)を結ぶ胆振線を分岐するなど、鉄道の重要拠点としての役割を担っていました。

外国語に対応した案内所

待合室に倶知安そば(立ち食いそば)やキヨスクがありましたが、2010年に倶知安そば、2015年にキオスクが撤退。北海道新幹線開業に伴い2016年に案内所が開設されました。北海道新幹線の停車も決定しており、駅構内の線路とホームを西側に移設するなどの工事が行われています。

撮影は午後がベスト

羊蹄山をバックにした鉄道写真の多くが町内の峠下踏切付近で撮影されています。峠下踏切までは倶知安駅からバスに乗り、羊蹄ハイツ前バス停下車、徒歩約10分、倶知安駅の裏手から未舗装路を通り徒歩約30分です。周辺には何もありませんので、何本か撮影する場合は、食べ物や飲み物を用意して行った方がいいでしょう。日陰もありませんので帽子もお忘れなく。午前は逆光で午後は順光になります。自分だけのベストショットを狙ってください。

文/写真:吉田匡和

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