今年はどう楽しむ?ブラックフライデー

 ここ2、3年で日本でも11月頃になると「ブラックフライデーセール」と見かける機会が多くなったが、アメリカでは「ブラックフライデーセール」は、ホリデーシーズンの到来を感じさせる冬の風物詩だ。

 何故”ブラック”なフライデー?

  ブラックフライデーとは、毎年11月の第4金曜日=サンクスギビングデー(感謝祭)の翌日の金曜日にあたる、アメリカでは伝統的に一年で最も小売店が繁盛する日。大幅割引や数々のプロモーションがかけられ、クリスマス商戦の始まりの日とも言われている。

  一般的に「ブラック」と付くと、あまりポジティブなイメージが湧かない。ブラック・サーズデーのような株の大暴落が連想されそうだが、実際には一大セールに消費者はガンガンお金を落とす。ブラックフライデーの語源は諸説ある中、小売店が売上増により黒字化するからという理由は実は後付け。1950〜60年頃のフィラデルフィア警察署が、朝から晩まで小売店に人が溢れかえる混雑と交通渋滞の状況を言い表すため、その日を恐れてブラックフライデーと呼んだことが始まりだそうだ。また、店の混雑の背景には、店員の病欠(ズル休み)により客数との比率差が原因として挙げられており、当時の話とはいえ日本では考えにくい”お祭り”現象だ。

 なお、年間最高の利益を上げる日にネガティブな印象を与える言葉を好まなかった小売店側は、PR紙などの協力も得て「ビッグフライデー」を推し、家族で目いっぱい買い物を楽しむ日という、イメージ転換を図ったが、結局「ビッグ」は浸透しなかった。しかし、名称のイメージはさておき、今もウィンターホリデーシーズンの大きな買い物をする日として認知されている。

デジタル化がもたらす変化

 冒頭に、ブラックフライデーはサンクスギビングデーの翌日の金曜日と書いたが、近年は11月初旬から割引を始めたり、早いうちからセール対策を行っている企業が増えている。

 Adobe Analyticsによると、昨年のブラックフライデーにあたる2019年11月29日のインターネット通販売上は前年同期比19.6%増の74億ドル(約8,100億円)と過去最高を記録。また、スマートフォン経由の購入がネット通販売上高の39%を占め、前年同期比21%増だった。

 私自身、大型スーパーのターゲット(日本でいうところのイトーヨーカ堂のような存在)等でオンライン購入、店舗ピックアップは日常良く利用する。最低購入額に届かなければ配送料がかかること、早く手に入れたい場合は直接近隣店舗へ用意された品物を引き取りに行く方が比較的早いことを考慮すると、とても便利だ。オンラインで決済も済んでいる為、たまに遭遇する効率の悪いレジ列に並ぶストレスも軽減される。

 今年は新型コロナウイルス対策で、ネット販売・店舗受け取りが更に促進されることが予想される。極端な人との接触や行列・店内入場制限回避に、インターネットやスマホ経由での購入が益々大活躍間違いなしだ。

 最近では小売業のみならず、旅行会社が格安航空券をブラックフライデーセールに出品したりと参入企業も多様化している。しかし、未だ外出は自粛傾向にあるため、今年多くの消費者は、事前に練った欲しい物リストとウェブサイトを比較して、オンラインショッピングで楽しむことだろう。

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