北朝鮮が「禁煙法」制定…金正恩氏が率先してルール破壊

北朝鮮の最高人民会議(国会に相当)常任委員会第14期第11回総会が4日、平壌の万寿台(マンスデ)議事堂で行われ、タバコの生産および販売、喫煙に規制を強化する禁煙法などが採択された。朝鮮中央通信が伝えた。

同通信によれば、喫煙法では「政治・思想教育の場所、劇場、映画館のような公共の場、幼児の保育・教育機関、教育機関、医療保健施設、商業、給養・便益サービス施設、公共運輸手段をはじめ、禁煙の場所と単位が制定され、喫煙秩序に違反した行為に対する当該の処罰内容などが明らかになっている」という。

北朝鮮は2005年に禁煙統制法を定め、公共の場での喫煙規制を強化したが、金正恩党委員長は視察先の学校や工場で所かまわずタバコを吸い、率先してルールを破ってきた。今後、金正恩氏がそうした行為を控えるかどうかは未知数だが、北朝鮮メディアは同氏がタバコを吸う写真を公開しなくなるかもしれない。

この日の委員会ではまた、国営企業の運営に関する企業所法が改正され、「企業所を省力型、省エネ型、コスト節約型、敷地節約型に転換させ、従業員が節約精神を体質化した愛国的な勤労者になるようにすることに関する内容が新しく明示された」という。

同通信の報道全文は次のとおり。

朝鮮最高人民会議常任委員会第14期第11回総会

【平壌11月5日発朝鮮中央通信】朝鮮民主主義人民共和国最高人民会議常任委員会第14期第11回総会が4日、平壌の万寿台議事堂で行われた。

朝鮮民主主義人民共和国国務委員会第1副委員長である最高人民会議常任委員会の崔龍海委員長(朝鮮労働党政治局常務委員)が、総会を司会した。

総会には、最高人民会議常任委員会の副委員長である太亨徹、朴容日の両氏、高吉先書記長をはじめとする最高人民会議常任委員会の委員が参加した。

総会には、議案として「朝鮮民主主義人民共和国禁煙法を採択することについて」と「朝鮮民主主義人民共和国企業所法を修正、補足することについて」が上程された。

最高人民会議法制委員会で審議された朝鮮民主主義人民共和国禁煙法と企業所法の修正、補足案の基本内容に対する解説があった。

31の条文で構成された禁煙法には、国家禁煙政策の要求に即してタバコの生産および販売、喫煙に対する法的・社会的統制を強化して人民の生命と健康を保護し、より文化的な生活環境を整える上で全ての機関、団体、公民が守るべき準則が規制されている。

政治・思想教育の場所、劇場、映画館のような公共の場、幼児の保育・教育機関、教育機関、医療保健施設、商業、給養・便益サービス施設、公共運輸手段をはじめ、禁煙の場所と単位が制定され、喫煙秩序に違反した行為に対する当該の処罰内容などが明らかになっている。

企業所法修正、補足案には、企業所を省力型、省エネ型、コスト節約型、敷地節約型に転換させ、従業員が節約精神を体質化した愛国的な勤労者になるようにすることに関する内容が新しく明示された。

これとともに、全ての単位で企業を新しく組織したり、所属が変動する時に守るべき問題、国家の統一的指導と戦略的管理の下で生産と経営活動を徹底的に社会主義原則に即して行うことに関する問題が反映された。

総会では、上程された議案に対する深みのある研究と意見交換があった。

総会では、最高人民会議常任委員会の政令「朝鮮民主主義人民共和国禁煙法を採択することについて」と「朝鮮民主主義人民共和国企業所法を修正、補足することについて」が全会一致で採択された。---

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