エクストリームE:2021年“シーズン1”カレンダー発表。参戦全チームのカラーリングも披露

 ルイス・ハミルトンに続き、2016年のF1ワールドチャンピオン、ニコ・ロズベルグの新チーム参戦が決まった電動ワンメイクSUVによるオフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』シリーズが、2021年創設初年度“シーズン1”のカレンダーを発表。同時にバーチャル・ラウンチでは、参戦全チームのマシンカラーリングも公開された。

 2021年3月開幕を予定する新生エクストリームEシリーズは、EVパワートレインを搭載する電動オフロード車両を用いて「人間の干渉の影響を浮き彫りにし、地球環境の保護に役立つEVの市場浸透を促進する」ことをビジョンに掲げている。

 そのイベントフォーマットやレース中継にも独自のコンセプトが採用され、映像配信は“ライブドキュメント”の形態となり、その放映権契約も全世界的な規模で拡大中。開催地各国では地球環境保全と啓蒙を狙った活動も予定されている。

 独自のスタイルはスポーティング規定にも貫かれ、チームは“ジェンダーフリー”を標榜し男女1名ずつのドライバーで構成。ドライバーとコドライバーとして550PSを発生するワンメイクEVマシン『ODYSSEY 21(オデッセイ21)』を2周のレースごとに乗り換え、互いに1ラップずつドライブするフォーマットが予定されている。

 すでに開催地としてArctic(北極圏)、Glacier(氷河)、RainForest(熱帯雨林)、Desert(砂漠)、そしてOcean(海洋)に対応する5つの開催地が名を連ね、2019年末には暫定カレンダーもアナウンスされていたが、シリーズは10月27日に最新のオンライン・プレゼンテーションを実施。

 エクストリームEの創設者兼CEOであるアレハンドロ・アガグにより、アルゼンチンのパタゴニアでのシーズンフィナーレを組み込んだ改訂版カレンダーを含む選手権概要と、新たに参戦全チームのマシンカラーリングが発表された。

「このバーチャル・ラウンチは、我々の独創的シリーズのシーズン1カレンダーとチームカーを発表するための素晴らしいフォーマットであり、とくにCOVID-19による困難な時期に、エクストリームEの重要なテーマであるバーチャル・エクスペリエンス機能を紹介する貴重な時間になった」と語ったアガグ。

シリーズは10月27日に最新のオンライン・プレゼンテーションを実施し、参戦全チームのマシンカラーリングも公開された
アルゼンチンのパタゴニアでのシーズンフィナーレを組み込んだ改訂版”Season1″カレンダーがアナウンスされた

■開幕戦は1月から3月に変更

 2021年1月22~24日にセネガル・ラックローズ近郊を舞台に、Ocean(海洋)ラウンドで幕を明ける予定だったカレンダーは、新たに3月20~21日にサウジアラビア北西部アル・ウラ地方シャラーンでのDesert(砂漠)ラウンドが開幕戦に。

 また、ネパールのカリガンダキ渓谷でのGlacier(氷河)ラウンドをキャンセルし、新たにアルゼンチンはパタゴニア地方のティエラ・デル・フエゴを加えて、当初計画より6週間遅れての開幕となる。

「パタゴニア地方の加入をアナウンスできて光栄に思う。ただし、エクストリームEがティエラ・デル・フエゴを訪問する理由ははるかに深刻だ。氷河の後退は世界的な気候危機の壊滅的な影響のひとつであり、我々が今行動しない限り、これらの素晴らしい場所はもはや存在しえないだろう」と続けたアガグ。

 そして10月初旬開催のFIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)にて、新たにFIA格式のインターナショナル・シリーズに承認されたエクストリームEは、オンライン上で参戦全チームのマシンカラーリングを披露した。

 ルイス・ハミルトンのX44、マティアス・エクストロームのABTスポーツライン、ジャン-エリック・ヴェルニュとエイドリアン・ニューウェイのベローチェ・レーシング、マクラーレンCEOのザック・ブラウン率いるアンドレッティ・ユナイテッド、同じく“北米の雄”チップ・ガナッシ・レーシング、中国資本のチーム・テチーター、スペインの電動技術企業QEV、ドイツのHWAレースラボ、そして10月20日に参戦をアナウンスしたニコ・ロズベルグ創設のロズベルグ・エクストリーム・レーシング(RXR)含む、全9チームが『オデッセイ21』の仮想リバリーをラウンチしている。

「チーム・ロズベルグの発展進化系として、このロズベルグ・エクストリーム・レーシングをアンベイルし、エクストリームEへのチャレンジを発表できたことに興奮している」と、アナウンスに際して声明を発表したロズベルグ。

「シリーズはすべての人々の環境意識を高めるだけでなく、今日の地球にとって最大の脅威である気候変動との戦いにおいて、実際の行動を刺激する素晴らしい機会になるはずだ」

「F1を引退して以来、自分のキャリアを持続可能なテクノロジーの発展に捧げてきたし、ここまでの努力とレースへの情熱を組み合わせることができるのは信じられないほど充実した任務だよ」

新たにアルゼンチンはパタゴニア地方のティエラ・デル・フエゴを加えて、当初計画より6週間遅れての開幕となる
550PSを発生するワンメイクEVマシン『ODYSSEY 21』を、チームごと男女1名ずつのドライバーがシェアする

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