【F1第13戦無線レビュー】フェルスタッペン、ボッタスをかわせず苛立ち「ボッタスがとても遅いよ!!」

 F1第13戦エミリア・ロマーニャGPはメルセデスがワンツーを飾り7年連続でコンストラクターズタイトルを決めた。ポールポジションスタートだったバルテリ・ボッタス(メルセデス)は、不運にも2周目にデブリを拾いペースが上がらず苦戦することに……。エミリア・ロマーニャGPの決勝レースを無線とともに振り返る

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 第13戦エミリア・ロマーニャGPの舞台は、イモラ・サーキット。F1がイモラで行われるのは2006年以来のことだった。イモラ・サーキットの正式名称は「アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ」ということで、フェラーリにとってはお膝元となる。

 そのイモラでの14年ぶりのF1は、スタート直前のタンブレロでエステバン・オコン(ルノー)とランス・ストロール(レーシングポイント)が接触。その直後の7コーナーでは、セバスチャン・ベッテル(フェラーリ)とケビン・マグヌッセン(ハース)も接触するという幕開けだった。

F1第13戦エミリア・ロマーニャGP決勝レース

セバスチャン・ベッテル:フロントウイングの翼端板にダメージを負ったみたいだ
フェラーリ:テレビの画面とデータを見る限りはだいじょうぶそうだ
ベッテル:OK、じゃ、レースを続けるよ

 スタートで1つポジションを落として3番手となったルイス・ハミルトン(メルセデス)は、レース前に懸念してとおり、オーバーテイクが難しいコースに、序盤からてこずっていた。

6周目
ハミルトン:このコースは後ろについて走るのがとても難しいよ

 こちらもスタート直後に1つポジションを落として5番手に後退したピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)。チームの母国グランプリということもあり、巻き返しを図ろうと4番手のダニエル・リカルド(ルノー)を必死に追うガスリーに、チームから無線が送られる。ガスリーのマシンでラジエターの水圧が低下していたのだった。

アルファタウリ:ピエール、これから言うことを聞いてほしい。申し訳ないが、いますぐピットストップしてくれ。僕らはリタイアしなければならない。マシンに重大な問題を抱えている。BOX、BOX

 スタートでハミルトンを抜いて2番手に上がったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、トップのバルテリ・ボッタス(メルセデス)を視界にとらえながらのレースとなったが、それはレッドブル・ホンダがメルセデスに匹敵するスピードを見せていたのではなく、ボッタスのマシンに問題が発生していたからだった。

レッドブル:僕らはコーナーではすべての箇所で(メルセデスに対して)速い。遅いのはストレートだけだ

メルセデスからボッタスへ:ターゲットに対してマイナス6(コンマ6秒ペースが遅い)

 じつはボッタスはスタート直後の7コーナーでの接触事故でベッテルのマシンから落下したフロントウイングの翼端板と2周目に通過した際に接触し、フロアにダメージを受けてダウンフォースを失っていたのである。

 トップ3がミディアムタイヤでスタートしていたのに対して、その後方の第2集団勢先頭で4番手のダニエル・リカルド(ルノー)以下はソフトタイヤでスタートしていたため、徐々にタイヤが苦しくなってきた。レッドブル・ホンダから6番手のアレクサンダー・アルボンに無線が送られる。

13周目
レッドブル:リカルドはコンマ6秒遅くなっている。君の方が速いよ

 すると13周目に5番手のシャルル・ルクレール(フェラーリ)がピットイン。その翌周にリカルドとアルボンら、第2集団勢が続々とピットインする。

 トップ3で最初に動いたのは、2番手のフェルスタッペン。18周目にピットインして、ミディアムからハードタイヤに交換する。これを見たハミルトンはチームに次のようにお願いする。

ハミルトン:これからペースを上げていくから、絶対に僕をピットに入れないで

 その翌周には先頭を走っていたボッタスがピットインし、ハミルトンが暫定トップに立つ。するとチームからハミルトンにこんな指示が送られてくる。

メルセデス:よーし、ピットストップを延ばすぞ

 ピットインしたボッタスとフェルスタッペンに対して、ステイアウトしたハミルトン。イモラのピットストップロスは27秒。ここから、ふたりはこの27秒の差を巡る戦いを繰り広げていく。

22周目
メルセデス:ハミルトンに対して、2.4秒リードしている。ただフロアの左側にダメージがある。2周目から空力に非常に大きなダメージが起きていた
ボッタス:どうして起きたの?
メルセデス:たぶん、ほかのマシンのデブリだと思う。ターン7で落ちていた

23周目
レッドブル:ボッタスに抑えられている

24周目
ハミルトンがファステストラップを更新。

24周目
フェルスタッペン:ボッタスがとても遅いよ!!

25周目
メルセデス:もう少しペースを上げれば、逆転できる
ハミルトン:これ以上は無理だ
メルセデス:わかった。じゃ、やれる範囲で頑張ってくれ

26周目
メルセデス:あと10周、ピットインを延ばせるか
ハミルトン:だいじょうぶ、もっと長く走れるよ

 すると、この直後の28周目、エステバン・オコン(ルノー)のマシンが、アクアミネラリを立ち上がりところでコース脇にストップした。

オコン:マシンに問題が出た。クラッチが壊れたと思う

※無線レビュー2に続く

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