インターネット古書店「こはく堂」店主・堀文治さん 本が広げてくれる世界

「平戸暮らしを楽しみ、人を呼び込みたい」と語るインターネット古書店「こはく堂」店主の堀さん=平戸市鏡川町

 「本から持ち主の人柄を感じる」。インターネット古書店「こはく堂」を開業して約9年。本を通じて多くの人と会い、自分の世界が広がるのを感じている。
 高校卒業後、県内外の医療機関で看護師として通算10年ほど勤務。図書館職員だった同い年の妻、美鈴さんと出会い、本と触れ合うようになったのが創業のきっかけ。帰郷したとき、イベントで知り合った地元の人たちの熱気にひかれ、2017年に夫婦2人の古里、平戸へ戻った。
 地元の行事に出店したり、カフェの一画に本を置かせてもらったりするうちに、本を人から人へつなぐ買い取りと販売が定着してきた。買い取り希望者の本への思いを聞いて「手元に置いておくように説得したこともある」。ネットが経営のベースでありながら、人との触れ合いの大切さ、面白さを痛感している。
 移住者やUターンしてきた仲間が増え、平戸の盛り上がりを感じている。「自分が古里での暮らしを楽しみ、人を呼び込みたい」と観光復活の道筋を思い描く。「時代や社会の変化を地元の先輩たちは乗り越えてきた。自分たちもコロナ禍を乗り越えられる」と確信している。

© 株式会社長崎新聞社