「1都3県」57の穴場エリアは?「人口が多くても、空室率が高い地域」に注意

不動産投資で、場所選びは大事なポイントの1つ。建物に不備があったとしても、修理すればカバーできるかもしれません。しかし、不動産は文字通り、動かせないからです。場所選びで誤ると、不動産投資は致命的ダメージを受けがちです。では、具体的にどのエリアがオススメなのでしょうか? 1都3県の利益の出やすいエリアについて、税理士大家の石井彰男が解説します。


人口推移と空室率を調べる3ステップ

まずは、前回の復習からです。
不動産投資において利益の出やすいエリアとは、「将来の人口減少率」と「現在の空室率」が低いエリアでした。この2つを調べるための、3ステップを紹介します。

1.都道府県単位で絞り込む

都道府県ごとの将来人口推計を「ニッセイ基礎研究所」のホームページから見ると、2045年の推計人口は以下のとおりです。数字は対2015年のパーセント比率になります。

1位 東京 100.7
2位 沖縄 99.6
3位 愛知 92.2
4位 神奈川 91.1
5位 埼玉 89.8
6位 滋賀 89.4
7位 福岡 89.3
8位 千葉 87.8
9位 広島 85.4
10位 岡山 84.3
11位 全国 83.7

全国平均が83.7なので、それより上位の都府県を選ぶほうが無難そうです。1都3県はすべて、全国平均より上に位置しています。

2.市区町村単位で絞り込む

次は「国立社会保障・人口問題研究所」で公表されている、市区町村ごとの人口推移を調べます。今だと、2045年までの将来予測が出ています。これを使えば、市区町村ごとの投資の可否をマクロで判断できます。

これを地図上にわかりやすく示したものが、地域経済分析システム「RESAS」です。同サイトでは、人口予想が赤(人口増加エリア)から青(人口減少エリア)までグラデーションで表現され、人口の増減が視覚的にわかります。

「国立社会保障・人口問題研究所」と「RESAS」、この2つを使って「今現在どこに人が多いのか」、「今後の人口推移はどのように変化していくのか」を明らかしていきます。当然、現在の人口が多く、将来の推移が上昇予想のエリアは、ねらい目になります。

3.空室率を調べる

次に、地域ごとの空室率を知る必要があります。人口が増加する地域だったとしても、空室率が高い地域であれば、「需要と供給が合っていない」かもしれないからです。

それを判断できる便利なサイトが、LIFULL HOME'Sの「見える賃貸経営」です。人口が上昇予測としても、空室率が高い場合は、避けるべき地域かもしれません。

たとえば、東京都中央区の2045年の人口増加率予測は、現在を100とした場合、134.9%となっています。しかし、現在の賃貸用住宅の空室率は27.7%。4室に1室以上が空室のため、オススメ地域とはいえないかもしれません。

1都3県、57の穴場エリア

では実際、将来の人口増加率は高いのに空室率が低い「穴場エリア」はどこでしょうか?
わたしの主観も含めながら、1都3県で検討した結果が次になります。「国立社会保障・人口問題研究所」のデータを加工して算出しました。厳しい目線で抽出しており、人口増加率は高くても、元々の人口が少ない地域は除外しました。

もう少し、要件を緩めて、人口が少なくても増加率が高い地域、または元々人口が多いにもかかわらず、減少率が少ない地域などを含めた結果がこちらになります。

ここで、1つ注意点があります
上記のエリア以外での不動産投資は、上手くいかないのでしょうか? まったくそんなことは、ありません。実際、わたしが所有している物件でも、上記以外のエリアもあります。

あくまで参考です。とはいえ、「人口減少が著しく予想され、空室率も著しく高いエリア」で、率先して物件を持つことはありません。先の3ステップは、初心者であってもネット上で誰でも調べられます。

人口予測と空室率、この2つの視点であなただけの「穴場エリア」を見つけてください。それが、失敗しない不動産投資の第一歩になるでしょう。

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