笑福亭鶴光のオールナイトニッポン、日髙のり子に「ええか~ ええのんか~ 最高か~」 1985年 10月5日 ニッポン放送「笑福亭鶴光のオールナイトニッポン」の最終回が放送された日

当時の男子中高生が夢中!「笑福亭鶴光のオールナイトニッポン」

「わんばんこ!鶴光でおま!」

このフレーズに懐かしさを感じる人、リマインダーのサイトを見ている人ならたくさんいるのではないだろうか? 『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン』は1974年4月3日から1985年10月5日まで放送された長寿ラジオ番組だった。

元々は、あのねのねのピンチヒッターとして起用されたが、人気が出たことから正式にパーソナリティーになったという。

深夜という時間帯もあり、品性下劣なコーナーも多く、しかしそれが思春期真っ只中の当時の男子中高生を夢中にさせた。そこには恥ずかしながら私も含まれるのであるが… 私が特に夢中になって聴いていたのは1981年。中学三年生だった頃だ。

「高校受験に向けて勉強するから」という名目で毎週土曜日だけは徹夜することを許してもらっていた。もちろん、ちゃんと勉強もしていたのだが、真の目的は鶴光のオールナイトだった。

エロ色が強かった大人気コーナー「ミッドナイトストーリー」

特にエロ色が強かったのが「ミッドナイトストーリー」というコーナー。鶴光と女性ゲストによるミニドラマなのだが、明らか性行為を連想させるような内容で、いわゆる “AVの音だけ” を聴いているようなもの。

ただ、最後は必ず “マッサージをしていた” とか、“ボーリングのボールを磨いていた” とか、“性行為ではないことをしていただけ” というオチで終わるという、“エロではないんだよ” というエクスキューズが必ず付け足されていた。

ちなみにこのコーナーの女性ゲストは女優、声優から旬のアイドル、外国人アーティストまでと幅広く、これらの人に「あ~♡」だの「もっと~♡」だの色っぽい言葉を言わせていたんだから平和な時代だな、と思う。

それにしても、当時「DO・KI・DO・KI・センセーション」という曲がスマッシュヒットしたTRIXというアルゼンチン出身の3人組に「ワタシタチ、ハジメテナノ」とカタコトの日本語でセリフを読ませていたのを聴いたときはさすがに「おいおい、そんなことさせて大丈夫なのか?」と子供心に心配になったものだ。

ちなみに私も番組に投稿して何度がハガキを読まれたことがある。内容がそこそこお下劣なネタであるにもかかわらずペンネームを使っていなかったものだから、週明けに同じクラスの女子から「あんた、サイテーやな!」という言葉を吐き捨てられたこともあった。

アシスタントは “ガケっぷちトリオ” 日髙のり子、浜田朱里、坂上とし恵

さて、夢中になって聴いていたのはエロ目的だけではない。

この番組、アイドル出演も多かった。私の大好きな河合奈保子もよくゲストで出ていたし、旬のアイドルの新曲も流してくれたりして、たくさんの情報が得られるというのも大きかった。女性アイドルがアシスタントとして出演していたのもこの番組の特徴。

私が一番聴いていた頃のアシスタントは、今やベテラン声優の日髙のり子。ハキハキとしたトークが印象的だった。売れないアイドルというレッテルを貼られて、後に浜田朱里、坂上とし恵と、ガケっぷちトリオという番組内ユニットも組まされていた。

毎週聴いていると親近感がわき、そういう境遇のアイドルを応援しようという気持ちを抱くようになるもので、彼女が当時リリースしたシングル「もう一度・ブラックコーヒー」「ひとつぶの涙」を購入したり、「のりのりジョッキー・アップルンルン」という彼女の担当コーナーにせっせと応援メッセージを添えたハガキを出したりしていた。

しかしそんな応援もむなしく、結局アイドルとして日の目を見ることもなく、いつしか私も日髙のり子という存在をすっかり忘れてしまっていた。まさか数年後にアニメ『タッチ』の浅倉南の声役でブレイクするとは誰が想像できただろう?

ドキドキワクワクしながらラジオを聴いていたあの感覚!

ところで、この番組にはリスナーが電話で参加する「イントロ当てクイズ」のコーナーがあり、クイズを始める前に、男性リスナーの場合はアシスタントが「あ~♡」という声を出し、それに合わせてリスナーが「ええか?ええのんか?最高か?」と言わされるという、これまたお下劣なお約束があった。これが女性リスナーの場合は逆になり、鶴光が男性パートの台詞を言う。

私もハガキを出したところ当選し、参加することができたのだが、日髙のり子の「あ~♡」という声に合わせて、緊張しながら「ええか? ええのんか? 最高か?」と叫んでいた。中3の男子が、深夜3時過ぎに… である(笑)。

ちなみにイントロ当てクイズの問題は、松田聖子の「白いパラソル」だった。

日髙のり子が浅倉南の声役としてブレイクしてから、「俺なぁ、昔、日髙のり子と電話で喋ったことあるねんで!」などと、友人に軽く自慢していた。もちろん、日髙のり子相手に「ええか? ええのんか? 最高か?」と叫んだ… などとはひとことも言っていない。何故ならそれはまだウブだった私の淡い思い出なのだから(笑)。

そんないろんな楽しさが詰まっていた『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン』だが、私が高校生になってからはだんだんと聴かなくなっていた。しばらくして鶴光は関西ローカルのテレビ局で『おとなの子守唄』というアダルト向けの番組をスタート。私も完全にそちらにシフトしていたので、番組が終了したことも後から知った。

しかし、ドキドキワクワクしながらラジオを聴いていたあの感覚を忘れることはない。ちょっとエッチなコーナーになると急いでヘッドフォンをしてコソコソ聴いていた、あのこそばゆい感覚。今のティーンには伝わらないのかもしれないな。

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カタリベ: 不自然なししゃも

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