第32軍壕資料収集へ 県、来年度から史実調査

 首里城火災後、地下の第32軍司令部壕の保存・公開を求める機運が高まる中、県は司令部壕に関する文献などの資料収集事業を行う。来年度には壕について史実面からの解明を目的に「第32軍司令部壕実態調査(仮称)」を実施する予定で、収集資料はそのための基礎資料にする。 6日の定例記者会見で同事業を発表した玉城デニー知事は「32軍司令部壕は関連する膨大な資料が国内外に残されているものの、これまで十分な分析が行われていない。壕の大部分が埋没していることから、内部を直接確認することは困難な状態だ」と資料収集や分析の意義を説明した。

 収集事業は公益財団法人沖縄県文化振興会に委託する。本年度は、県の公文書館などが所蔵している約60万ページに及ぶ日本軍や米軍の調査資料、琉球政府文書や写真、映像などから32軍壕に関する記録を抽出する。未確認資料についても、米国や県内外の博物館、図書館で有無を確認し、収集する。

 沖縄戦の体験者にも広く呼び掛け、個人の手記や壕に関する証言も集める。県文化振興会の大城博光公文書管理課長は本紙の取材に「県内外から幅広く資料を掘り起こし、32軍壕に関する記録を網羅したい」と語った。

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