“松坂世代”楽天・久保裕也が引退会見 迷わず即決断「結果出ず力の衰え感じた」

会見に臨んだ楽天・久保裕也【写真提供:楽天野球団】

転機は2010年に巨人1軍内野守備走塁コーチだった木村拓也さんの急死…恩人思い涙「気持ちが大きく変わった」

楽天の久保裕也投手が7日、今季限りでの引退を表明した。オンラインで会見を開き、「イーグルスに来て、野球を失っても構わないと思ってから、より真剣に取り組むことができました。18年間、野球を楽しむことができて幸せでした」と語った。

1980年度生まれの松坂世代で、不惑のベテランがまたひとり現役のユニホームを脱ぐ。「同期には本当にレベルの高い選手がたくさんいましたし、僕の中には友人であり、ライバルであり、尊敬する同級生が多かったので、いい世代に生まれてきたんだなと思います」と注目を浴びた世代を振り返った。会見では、前日に引退試合を行った同級生の渡辺直人内野手兼コーチから花束を受け取り、抱擁を交わした。

久保は東海大から2002年のドラフト自由枠で巨人に入団。2010年には球団史上最多79試合登板を果たすなど、先発、中継ぎ、抑えとして活躍した。2016年にはDeNAに加入。1年で戦力外となるも、2017年にはテストを受け楽天に入団。中継ぎの一角としてブルペンを支える時期もあった。今季はここまで5試合に登板し、1勝0敗、防御率13.50だった。

引退について久保は「今シーズンを自分自身で振り返った時に、なかなか結果が出せず、力の衰えを感じた。球団に力の限界を伝えて引退することにしました」と語った。「イーグルスに入団するときに最後の球団にすると決めてずっとプレーしてきた。迷うことなく引退する方向に固まったので、すぐに決めました」と話した。

「プロ入ったときはすごく練習が嫌いで、毎日いかに楽をするかを考えていた」と若手時代を振り返った久保。プロ5年目ごろから意識が変わったといい、中でも大きなきっかけは2010年、当時巨人の1軍内野守備走塁コーチだった木村拓也さんの急死。助言をくれていた恩人の訃報に直面し「そこが僕の気持ちが大きく変わったというか、モヤモヤしたものが吹っ切れた瞬間でした。何でもできることの強みを教えてくれた人でした」と涙を拭った。

実働18年で通算506試合登板で54勝37敗、37セーブ、113ホールド、676奪三振で防御率3.45。残り少なくなった松坂世代の右腕が現役に別れを告げたことで、NPBでの同世代の現役は西武の松坂大輔とソフトバンクの和田毅の2人に。久保は「1年でも長くやってほしい。いつかやめるときが来たら、お疲れ様と言ってやりたい」と思いを込めた。(Full-Count編集部)

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