コラム凡語:クマが眠りにつくまで

©株式会社京都新聞社

 クマによる被害が止まらない。3日には綾部市で新聞を取りに出た男性が頭と首を引っかかれた。先月末には与謝野町でも男性が襲われている▼京都府内の2件はいずれも民家近くで発生しており、奥山で出合い頭に遭遇して襲われるのとは事情が違う。府は注意情報を出し、クマが出没する朝夕は一人歩きを避け、複数で行動するよう呼び掛けている▼今夏、滋賀と岐阜の県境近くでツキノワグマを見た。河原を歩くまっ黒な巨体。こちらの車に気付くと、一目散に逃げた。短時間なら時速50キロで走るという。世界記録保持者のボルトさんでも最高速度は同44.7キロ。誰も逃げられない▼本紙夕刊に「野生のいぶき」を連載する動物カメラマン須藤一成さん(米原市在住)は「山の近くなら身近な所にクマは常にいると思った方がいい。その上で人間と一定の距離を置いて、ともに生きていく方法を考えていくしかない」と話す▼環境省のデータでは12月に入ると目撃や被害数ががくんと落ちる。須藤さんによるとクマが冬眠する場所に戻っていくからではないかという▼中山間地では1人暮らしのお年寄りも多く、そもそも複数行動は難しい。それでもあと1カ月ほど、衝突を避ける努力を人間側が続けるしかない。きょうは立冬。クマが眠りにつく日も近い。