鮮やかさ失う京都の紅葉  都市化で消えゆく「赤」、今も美しさ保つ場所の秘密は

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寒暖差が大きい京都府南丹市園部町で真っ赤に色づいたモミジ(園部公園)

 11月の京都といえば美しい紅葉-と思うかもしれない。確かに紅葉の名所は多い。しかし、モミジ(イロハカエデ)の見頃は年々遅くなり12月になっている。そして、かつてほど鮮やかに赤くならないという。

■湿気と寒暖差減り、色づき悪く

 「京都の紅葉は、過去に比べ色づきが悪くなっています」と指摘するのは、1997年から紅葉と気候の関係を調査する龍谷大名誉教授の増田啓子さん(環境気候学)。鮮やかに葉を染める条件となる「日差し」「湿気」「寒暖差」のうち、京都市では二つが無くなりつつあるという。

 日差しは、紅葉の赤い色素の元となる糖分を作る。日差しの状況は、今も昔もあまり変わらない。

 湿気はどうか。猛暑や秋の少雨で乾燥しすぎると、紅葉する前に葉先が枯れたようになる。京都の湿度は都市化によって年々下がり、乾燥が進んでいる。

 もう一つは、昼間は暖かく夜は冷え込むという「寒暖差」。夜の気温が高いと、昼に作られた糖分が葉の呼吸のために使われてしまい、赤みが弱まる。

 京都市では、11月の最高・最低気温の差の平均(日較差平均)は、戦前は11~12度程度だったが現在は9.2度。寒暖差は2度以上小さくなった。

■コケやスプリンクラーで水分補給

 紅葉の名所は対策を進める。「通天橋」から望む紅葉が有名な東福寺(東山区)は「猛暑や乾燥で葉先がちりちりになり、紅葉が茶色っぽくなる年がある」とし、樹下のコケを入念に手入れして乾燥を防ぐ。「モミジの永観堂」として名高い左京区の永観堂(禅林寺)も、スプリンクラーで約3千本の木に水分補給をしている。

 見頃も変わってきた。増田さんによると、イロハカエデの葉の大半が赤く染まる「紅葉日」(観測は気象台)は、温暖化により京都市では50年間で約15日のペースで遅くなり、現在の平年は12月3日。滋賀県彦根市も約15日遅くなった。

 晩秋の美しい紅葉を失いつつある京都市。一方、増田さんによると、京滋でも鮮やかな赤さを保っている場所がある。今も寒暖差が大きい丹波地方や滋賀県の山間部だ。11月の日較差平均は、南丹市園部町で11.7度、甲賀市信楽町で12.5度もあり、戦前の京都市並みだ。

 増田さんは「京都と比べると全然違いますよ」と話す。ただ、「あまり『京都の紅葉がきれいじゃない』って言うと、有名なお寺から『その話はやめて』と言われるんですけどね」と苦笑した。

過去100年の京都における11月の平均気温日較差の推移