サラリーマンは不動産投資でカモにされやすい?

サラリーマンが不動産投資をする場合、不動産業者に“カモ”にされないよう注意が必要です。過去には、サラリーマン投資家が高額な投資用物件を購入させられたうえ、不動産運用を代行する会社が破産したため多額の負債を負うこととなった通称「かぼちゃの馬車事件」(スルガ銀行提携ローン)もありました。

安心して不動産投資を行うためには、どのような人がカモにされやすいのか、カモにされてしまう理由は何なのかを理解しておかなければなりません。この記事では、サラリーマンが不動産投資を行う際の注意点とポイントを解説します。安全に不動産投資を行えるよう、しっかり確認しましょう。

不動産投資はサラリーマンでもできるのか?

マンションやアパートを購入し、人に貸し出すことで収入を得る不動産投資は、豊富な資産を持つ人のみができる事業というイメージを持たれがちです。会社で働いて給与を得ている一般的なサラリーマンでも、不動産投資はできるのでしょうか。まずは、サラリーマンの不動産投資について解説します。

安定した役職、給与の場合はサラリーマンでも不動産投資はできる

サラリーマンでも、安定した役職や給与がある場合には不動産投資ができます。不動産投資をするためにはアパートやマンションを一棟丸々、またはマンションのひと部屋〜数部屋を購入しなければならないため、多くのお金が必要です。しかし、この費用をすべて自前で用意する必要はなく、不動産投資ローンで借り入れることができます。たとえアパートやマンションを購入するお金を持っていない一般的なサラリーマンでも、ローンさえ組めれば不動産投資をはじめられます。

経営者・自営業者に比べ、サラリーマンは融資を受けやすい

投資用のマンションやアパートは、不動産投資ローンを組んで購入するのが多いものです。サラリーマンは、経営者や自営業者よりも金融機関から融資を受けやすい傾向にあります。これには、サラリーマンが持つ「与信」が関係しています。与信とは、「信用を与えること」です。

サラリーマンは、経営者や自営業者に比べて給与が安定しています。さらに年齢や勤続年収、勤務先といった情報から安定した経済力があることを証明しやすく、金融機関に信用してもらいやすいのです。サラリーマンにはこうした信用があり、不動産投資ローンを組む際の審査に通りやすく、融資が受けやすい傾向にあります。

不動産投資のメリットとは?

サラリーマンが副業として行う投資には、株式投資やFXなどもありますが、これらと比べて不動産投資にはどのようなメリットがあるのでしょうか。不動産投資によってサラリーマンが受けられるメリットを紹介します。

本業の空いた時間を有効活用できる

不動産投資は、本業の空いた時間で行えます。株式投資やFXの場合は常に変動する株価や為替をこまめにチェックしなければなりません。確認を怠っている間に大きな利益を逃したり、損を出してしまう可能性があるため、会社で働いているときも気になって、本業に集中できない可能性もあります。しかし、不動産投資は、賃貸物件を人に貸し出してその家賃を収入とします。会社で働いているときは本業に集中し、休日など空いた時間に投資に関する確認や勉強ができます。

ですが、マンションやアパートの運営をはじめる前に、物件を探して内見をしたり、不動産投資ローンや物件購入の手続きをしたりなど、事前準備に手間や時間がかかります。実際に物件の運営をはじめて経営が安定してくれば、あまり手間をかけずに利益を得られるので、本業も大切にしたいサラリーマンにおすすめです。

長期的に安定した収入を得ることができる

不動産投資は、入居者から得た家賃収入から経費や税金を引いたものが所得となります。つまり、入居者さえいれば長期的に安定した収入を得られるのです。この点から、将来の収益の見通しも立てやすく、老後の年金対策としても有効とされています。

株式投資やFXも年金対策として行われることがありますが、株価や為替の変動によってあるとき突然大きな損失が出る可能性があります。リスクが大きい分、大きなリターンを得られる可能性もありますが、会社員としての仕事にも集中しつつ、堅実に収益を出していきたいのであれば、不動産投資の方がメリットが大きいでしょう。

サラリーマンが不動産投資でカモにされやすいタイプとは?

長期的に安定した収入を得られること、投資をはじめるための融資を受けやすいこと、本業との両立がしやすいことなどから、サラリーマンからも人気を集める不動産投資。しかし、悪質な不動産業者からターゲットにされ、損害を被るサラリーマンも多くいます。そこでここからは、不動産投資でカモにされやすいサラリーマンとはどのような人か、解説します。

不動産投資に関する知識が浅い人

不動産投資に関する知識が浅い投資家は、専門家である不動産業者を信用し、アドバイスを素直に聞き入れてしまいがちです。しかし、すべての業者が親切にいい情報を教えてくれるとは限りません。中には投資家の知識の浅さを利用して利益を得ようとする、悪質な業者もいるのです。実際に次のことを言われると、鵜呑みにしてしまう人も多いでしょう。

・頭金なしでも不動産投資ローンを組めるから、自己資本がなくても大丈夫
・不動産投資は節税対策にもなる
・不動産投資はリスクが低いので安心

上記のようなアドバイスは、確かに間違いではありません。しかし、頭金なしでローンを組むと返済が苦しくなることが予想されますし、節税対策を目的として不動産投資を行うと、キャッシュフローが悪化する可能性が高いものです。耳障りのいいアドバイスの裏には注意すべき点も潜んでいることが多いのですが、悪質な不動産業者は不都合な情報は教えてくれません。投資家自身がきちんと不動産投資に関する知識を持っていなければ、そのことを見抜けずカモにされてしまいます。

属性(職種立場)や年収の高い人

不動産投資では、意外にも収入が多い人、社会的地位の高い職業に就いている人など、いわゆる「属性」がいい人がカモにされやすいものです。属性のいい人は不動産投資ローンで審査に通りやすいので、銀行から多額の融資を受けやすく、高額な物件でも購入できます。

悪質な不動産業者はその点に着目し、必要以上に高額な物件を買わせようとするのです。しかし、不動産投資用の物件は高額であるほどいいというものではありません。あまり高額な物件でなくても、十分に収入目標を達成できる場合があります。また、どんなに高額でいい物件でも、立地などの条件が悪ければ、空室率が高く収益があまり得られないこともあるのです。

悪質な業者は、属性のいい投資家に対して「あなたのような人にしかおすすめしない物件です」「高所得者だからこそおすすめしています」などと特別感や優遇感を煽って営業をしてくることもありますが、こうした文句に流されないよう意識することも重要です。

本業が忙しく、投資に時間を作れない人

本業が忙しい人もカモにされがちです。忙しくて不動産業者に言われるままに物件を選び、不動産運営も任せきりにしてしまうと、さまざまなことを業者にとって都合のいいように進められてしまう可能性があります。なかなか売れない不人気な物件を買わされてしまったり、節税になると言われて物件を買ったのに、いざ不動産運営をしてみると節税どころか赤字経営で苦労したりすることもあるのです。

不動産投資は株式投資やFXに比べてこまめに状況をチェックする必要がないため、忙しい人でも安心してはじめられます。しかしそれは、実際に投資を開始してからのことであって、不動産業者選びや物件選びは時間をかけて慎重に行わなければなりません。

不動産投資でカモにされないための対策とは?

不動産投資をはじめるにあたって、専門家である不動産業者は確かに頼りになる存在です。しかし、すべての不動産業者が信頼に足るとは言えません。不動産業者からカモにされないためにはどうするべきなのか、その対策を解説します。

不動産投資関連の書籍やセミナーに参加して「知識」を身につける

不動産投資でカモにされないためには、まずしっかりと自分で知識を身に付けることが必要です。勉強をして最低限の知識を身につけておけば、不動産業者がカモにしようとしてもいち早く気づいて対応ができます。中でも不動産投資ローンや不動産投資による節税、初期費用や経費・税金、物件の利回りといった「お金周り」についてはしっかり理解しておきましょう。

悪質な不動産業者は、これらの点について耳障りのいいことを言って、投資家をカモにしようとすることが多いです。不動産投資に関する知識は関連の書籍を読んだりセミナーに参加したりして身につけましょう。セミナーに参加する場合は、事前に講師や運営会社の実績などを確認しておくことがおすすめです。

不動産投資に詳しい第三者へ相談できる環境を作る

自分ひとりでは不動産業者の言葉を信じていいのか判断できないことも多いため、セカンドオピニオンを求められる人を作ることが重要です。不動産投資セミナーに参加すると、不動産投資家仲間を作れます。投資家仲間がいれば、不動産業者に不信感を覚えたときに意見を聞くことができ心強いだけでなく、不動産投資に関する知識や経験に基づいたアドバイス、物件に関する情報が耳に入りやすくなります。

いい話ばかりの営業マンは「怪しい」と疑うこと

不動産投資の魅力は比較的簡単であること、利回りがいいこと、節税や年金対策になることです。しかし、そんな不動産投資もノーリスクではありません。空室率が高かったり大きな修繕が続いたりすれば赤字経営に陥る危険性がありますし、一見利回りのいい物件でも、経費や税金を考慮に入れるとあまり利回りがよくないこともあります。

赤字経営に陥ったり想定以下の収益しか得られなかったりすると、節税や年金対策どころではなくなります。不動産投資にはリスクもあるのに、それについては一切触れずにいい話だけをして勧誘してくる営業マンを信頼してはいけません。いい話ばかりをされると期待が膨らみ、鵜呑みにしてしまいがちですが、流されずに怪しいと疑いましょう。

物件購入を急かされても、冷静に対応すること

物件を探している際、他にもこの物件を狙っている人がいる、早くしないと売れてしまうなどと言って不安を煽り、購入を急かす不動産業者もいます。中には数時間後に電話をするからそれまでにどうするか決めてほしいと、短時間での決断を迫ってくるケースもあります。しかし、急かされたからといって焦って物件の契約をするのは危険です。不動産業者がクロージングのために嘘をついている可能性も否めませんし、焦ると判断力が鈍り、その物件の重要な欠陥を見落としてしまう場合もあるからです。

投資用物件の選択を誤ると、思ったように収益が出ないだけでなく、税金や修繕費、ローン返済などが重なり、数年間にわたって赤字が続く可能性があります。決断に時間がかかり優良物件を逃してしまうことによるリスクよりも、焦って不適切な物件を購入してしまうことによるリスクの方が大きいものです。物件購入を急かされても冷静に対応することを意識しましょう。

不動産投資に関する目標を持つことで余計な誘惑に惑わされない

不動産投資に関する目標を持つことも、業者にカモにされないために必要なことです。「生活費にあてるお金を得るため」なのか、「将来に向けた貯蓄のため」なのかといった目的を明確にし、月々どれくらいの収益が必要か目標を立てましょう。そうすれば、不動産業者の甘い言葉に惑わされず、目標達成のために必要な物件を選べます。

不動産投資をはじめるとき、失敗しないために注意すべき点とは

不動産投資を成功させるためには、準備が肝心です。ここからは、不動産投資をはじめるときのポイントを紹介します。

念入りに収支シミュレーションをする

投資用物件を選ぶ際には、念入りに収支シミュレーションをしましょう。不動産投資では、家賃収入から経費や税金を差し引いたものが所得となります。家賃収入は各部屋の家賃と部屋数から計算できますが、空室が多いとその分少なくなるので、空室リスクまで考慮してシミュレーションしましょう。

経費には、建物の修繕費や管理費、不動産投資ローンの利息などが含まれます。中には物件購入費のように減価償却し、数年に分割して経費に計上するものもあるため注意が必要です。収支シミュレーションでは、税金を差し引くことも忘れないようにしましょう。

所得税や住民税のほか、不動産取得税や印紙税など、不動産購入に伴い課される税金もあります。不動産業者が提示してくる収支シミュレーションには、経費の一部や税金が考慮されていない可能性があります。利回りも、経費や税金を考慮しない、「表面利回り」が提示されることが多いため、鵜呑みにすることなく自分自身で計算してみましょう。

信頼できる不動産会社を見つける

ここまで、悪質な不動産業者への対策を紹介してきましたが、中には信頼できるいい不動産会社もあります。投資用物件を探す際にはいくつかの不動産会社にコンタクトをとり、パートナーとして信頼できる会社を探しましょう。これからパートナーとして関係を築いていける不動産会社かどうかを判断する際は、次の点をチェックしてください。

・取扱物件の空室率
・管理代行費
・アフターフォローの充実度
・担当営業マンの質

空室率が低い取扱物件が多い不動産会社なら、同じように空室率が低い物件を紹介してくれる可能性が高いでしょう。優良物件を多く扱っているという判断基準にもなるため、事前にチェックしておくことが大事です。実際に不動産投資をはじめると、その物件の管理を不動産会社に依頼することもあります。この代行費が高いと、その分所得が減ってしまうため、よく確認することが大切です。

物件購入後のアフターフォローは、不動産会社によりさまざまです。物件を売って終わりではなく、その後のサポートも手厚い会社なら、信頼できる可能性が高いでしょう。また、担当営業マンの質もよく確認してください。無理に物件購入を迫ってくることはないか、質問をしたときに真摯に答えてくれるか、不動産会社にとって不都合な情報でも教えてくれるかという点は、とくに重要なチェックポイントです。

不動産投資を初めてするなら新築より中古マンションがおすすめ

物件価格は築年数が古いほど、少ない初期費用で投資をはじめられるため、リスクが少なく不動産投資初心者にはおすすめ

はじめて不動産投資をするのであれば、新築よりも中古マンションがおすすめです。その理由は以下になります。

・購入費用が少なく済む
・利回りが高い

物件の価格は築年数が古いほど安いものです。そのため、新築よりも中古の方が少ない初期費用で投資をはじめられ、リスクが少ないのです。さらにマンションなら、ひと部屋の購入から不動産投資をはじめられるので、初期費用がより少なく済みます。中古マンションは実質利回りが高いという点でも、不動産投資初心者におすすめです。実質利回りは、次のように計算します。

(年間家賃収入−年間経費)÷(物件購入費+物件購入に必要な諸費用)

中古マンションの場合、新築物件よりも「物件購入費+物件購入にかかる諸費用」が少ないので、その分利回りが高くなります。つまり、物件購入費や物件購入にかかる諸費用の割に、多くの収益が見込めるということです。これなら、マンションやアパートの経営手腕に自信のない不動産投資初心者でも安心です。

ただし、中古マンションの状態次第では多額の修繕費が必要になる可能性もあります。修繕費が大きな痛手となることもあるので、物件を選ぶ際には修繕の必要性もよく確認しておきましょう。

失敗も成功も経験として次に「活かすこと」が大事

不動産投資では、失敗も成功もあり得ます。しかし大切なのは、不動産投資での失敗や成功に一喜一憂して終わるのではなく、その経験を次に活かすことです。予期せぬ大きな赤字を出してしまった場合には、なぜ赤字が出てしまったのか、どうすれば赤字を防げたのかを考えましょう。

入居者が順調に入り、収益が出ている場合には、何が入居者集めに成功した理由なのか、今後どうすれば入居率を保っていけるのかを考えましょう。不動産投資は長期間にわたって行なうものです。目先の失敗や成功そのものにとらわれるのではなく、さまざまな経験から学ぶことを忘れないようにしましょう。

不動産投資はあくまでビジネス。必要な知識は身につけてより効果的な投資方法を見つけよう

不動産投資は投資の一種ではありますが、賃貸業というビジネスです。入居者という「お客様」がいてはじめて利益が出るものなので、入居者集めの戦略を練り、物件を入居者にとって魅力的な状態にしておくことが非常に大切です。ビジネスという視点を持ち、知識を身につけていくことで、より効果的に利益を出していくことができます。

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