<金口木舌>サイン

 11月8日は語呂合わせで「いい歯の日」。日本歯科医師会が1993年に設定し、歯の健康保持に向けて啓発に取り組む。80歳でも20本以上の歯を残そうと呼び掛ける「8020運動」で知られるように、歯は健康のバロメーター▼文部科学省は昨年6月、学校・教育委員会向けの虐待対応の手引き書を作成した。チェック項目の一つに「虫歯の治療が行われていない」がある。虫歯は育児放棄(ネグレクト)などに気付くサインかもしれない

▼北谷町と町内の幼小中学校は5日、児童虐待防止や早期発見を目的に情報提供に関する協定を交わした。月に一度の出欠情報の共有、児童が帰宅を嫌がる場合は即時に町へ連絡―など密な連携を確認した

▼今月は児童虐待防止推進月間。「あなたの1本の電話で救われる子どもがいる」と呼び掛け、児童相談所への対応ダイヤル「189」(イチハヤク)などの周知が取り組まれている

▼県内の児童相談所が2019年度に対応した児童虐待の件数は、速報値で18年度比46.1%増の1607件。過去最多の背景には社会の関心の高まりもある

▼文科省の虐待対応手引き書のきっかけは、糸満市にも暮らしていた千葉県野田市の小学4年栗原心愛さん(10)が死亡し、両親が傷害致死などに問われている事件だった。身近な子どもたちはどのような表情か。異変を見逃したくはない。

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