「沖縄はおいしい場所」石垣島の半グレ撤退 新たな勢力台頭の不安も

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八重山署に解散届を提出し、引き上げる男性被告(手前)とグループの仲間=4日、石垣市登野城

[ニュース近景遠景]

 沖縄県警に5回逮捕され、賭博ほう助などの罪に問われている「半グレ」と呼ばれる反社会的勢力リーダーの男性被告(50)が4日、八重山署にグループメンバー10人を伴って解散届を提出した。報道陣には「多大な迷惑を掛けた。大阪に帰ります」と陳謝し撤退を宣言。一件落着と思いきや、反社勢力に詳しい関係者は「反社がきれいに撤退することはない」と予想し、県警も警戒を緩めていない。(社会部・城間陽介、八重山支局・粟国祥輔)

■暴力団の配下で

 同被告が拠点を大阪から石垣島に移したのは2016年ごろ。大都市圏からの直行便や国際線開通で観光需要を取り込み、キャバクラ店や焼き肉店、マリンレジャー事業を経営。最近では那覇市内にも飲食店を進出させていた。

 暴力団の動向に詳しい関係者は「もともと石垣島は地元の暴力団旭琉會の“シマ”だった。そこへ同被告が大阪での警察の取り締まりから逃げるように石垣島へ移ってきた」と言う。

 同被告が旭琉會の縄張りで事業ができた背景には、同被告と付き合いのある6代目山口組が旭琉會幹部に口利きした経緯があるといい「当然(被告の)面倒を見る代わりに売り上げの一部を旭琉會に流すといった交換条件があったはずだ」(同)。事実上旭琉會の支配下で事業展開をしていったという。

 こうした同被告らの石垣進出に伴い歓楽街・美崎町の治安は悪化。強引な客引き行為によるトラブルや“ぼったくり”といわれるような高額料金の請求で苦情が相次いだ。

■取り締まり本腰

 取り締まりに本腰を入れる県警は18年度から「暴力団対策課」を「組織犯罪対策課」に改名。捜査対象を反社勢力まで広げ、情報収集に乗り出した。そして今年6月、県警初の労働基準法を適用しての逮捕に踏み切り、野球賭博、元従業員への暴行、傷害容疑と逮捕を5回重ね、耐えかねた同被告はグループ解散を決断した。

 県警幹部は「重要人物だけに集中的に取り締まらないと効果はない。検事とも逮捕を重ねる捜査方針を慎重に確認した」。半グレ組織は公安委員会に指定された暴力団組織ではなく解散届に法的拘束力はないが、「取り締まりの目的を果たしたと思う。自治体や地域全体で排除の機運をつくりだした成果」と胸を張る。

■仲間に引き継ぎ

 ある関係者は「沖縄は今はコロナで厳しいが、ビジネスとしておいしい場所。半グレと暴力団の共存は続くだろう」と語る。美崎町の飲食関係者も撤退を歓迎するが、同被告が経営していた4店舗が仲間に引き継がれて営業が続いているため完全排除に懐疑的だ。

 新たな勢力の台頭も危惧され、「すでに関東の半グレグループ『関東連合』が関係する店舗が進出しているとの情報もある」と不安を口にする。

 捜査関係者は反社グループの動向を想定した上で「自治体や地域と連携して対策を講じないといけない。これで終わりじゃない」と強調している。