「無駄が一切出ない」ビーグ廃物から育苗ポット開発 埋めても土に返ります 中部農林高プロジェクト部

 【うるま】県立中部農林高校プロジェクト部の9人が、ビーグ(イグサ)を使った育苗用ポットを開発した。成長時に植え替えが必要なビニール製の容器とは異なり、地中に埋めても自然分解される環境に配慮したポットだ。100回を超える実験と失敗を繰り返し、約1年かけて出来上がった土に返る鉢を手にした生徒たちは「いずれは学校の全てのポットがこれに代わり、エコな環境が整えばうれしい」と夢見る。

 ビーグは、県内では国頭村奥間とうるま市照間のみで栽培され、収穫面積と生産の約9割を照間が占める。無農薬栽培が全国的に高く評価されている照間のビーグだが、収穫後は品質や丈の長さなどで選別され、約2割が廃棄となる。

 農家から相談を受けた中部農林高では廃棄部分の有効活用を目指し、2018年はちんすこうやシュークリームなどの加工食品を開発した。それでも廃棄部分が残ることから、さらに調査研究を進め、「無駄が一切出ない」ポットにたどりついた。

 19年4月から始まった研究は試行錯誤の連続だった。繊維の分解や型作りのための薬品選びなど「何から始めていいのか分からないので本当に何でも試しました」と久場鈴菜さん(18)。特に苦労したという型作りは、灰のようにぼろぼろになったこともあった。うまく固めるために、幾通りもの薬品の組み合わせを自分たちで考えた。部長の祖堅美空さん(17)は「何度も失敗したがみんなで諦めず楽しみながら続けてこられた」と振り返る。

 今後は、ポットを実際に使用し、カボチャや大根などの植え付け実験を行う予定だ。9人は全員3年生で来年卒業を迎える。「卒業までに、自家栽培ができるところまで確認できたら、最高だよね」と期待に胸を膨らませる。

(新垣若菜)

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