中国依存の危険性…その現状と「中国リスク」の本質とは

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。10月21日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、矢野経済研究所 社長の水越孝さんが、買い手として影響力を増す“中国との付き合い方とリスク”について述べました。

◆中国だけが経済回復、買い手としての影響力拡大

高級ブランド大手「LVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)」が発表した第3四半期の売上高が市場予想を上回りました。ジャン・ジャック・ギオニー最高財務責任者はコロナの影響で売上高が落ちたとしつつも、ルイ・ヴィトン、ロエベ、セリーヌなどの販売が回復したことが全体を押し上げたとし、ヨーロッパよりも早くロックダウンを解除した中国での販売が好調だったとの見方を示しました。

コロナの発信源である中国は、他国に比べいち早く経済が回復。IMF(国際通貨基金)も主要国では中国だけが唯一プラスの成長を予測しています。さまざまな問題を抱えてはいるものの「今回のニュースのように(中国の)買い手としての力が今ものすごく影響力を増している」と水越さんは言います。

実際に中国の輸入額は5月から反転し、一気に増加。日本車の中国市場への依存度も増しており、5%程度だったものが約1割にまで拡大。ドイツ勢も中国市場を重要視していると水越さん。

一方で、中国市場はリスクもあるとし、水越さんが挙げたのは「法令の恣意的な解釈」、「責任の所在がよくわからないまま何かが決まる」、「突然ルールが変わる」の3点。「このリスクは企業の立場からすればとても大きい」と危惧します。

◆菅首相の初外遊も企業戦略の流れに一致

そんな中国では先日、輸出管理法が成立。これは、中国にとって安全、利益を損なう製品や企業の輸出を禁じるというもので、中国からの輸入品を加工し第三国に輸出することも対象となります。これは日本にとってリスクが大きく、とりわけ最も大きいのは「一面的には中国のこういった法令解釈が、根拠が見えてこないところ」と指摘します。

ただ、日本企業も数年前から"チャイナ・プラスワン”を掲げ、中国依存を抑制する動きを見せています。矢野経済研究所の調べによると、アジアにある日系の現地法人が今考えている今後の戦略は「調達先・販売先の分散」と「現地化」。

中国以外にベトナムやインド、インドネシアなどに注目が集まっており、「要するに中国のその先、投資のウエイト・考え方が変わってきている」と水越さん。菅首相が初外遊でベトナムとインドネシアを選んだことも「企業の戦略の流れに一致している」と言います。

◆中国依存の危険性……上手な付き合い方は?

とはいえ、現場では買い手としての中国を無視することはできず、ではどう付き合っていくべきなのか。水越さんは「余計なことを言わず、大人しくビジネスをやっていれば何も問題がない」と言います。例えば香港デモ発生後、ジェトロ(日本貿易振興機構)と香港の日本領事館がその影響について3ヵ月ごとに調査していて、直近のリリースでは47%が「影響ない」としています。

人口およそ14億人を有する中国の市場は魅力的ではあるものの、前述の3つのリスクは表裏一体であるだけに、水越さんは常に有事の際の対応は考えておくべきと警鐘を鳴らします。最後に、中国国内の企業も脱中国の動きがあるそうで、「ベトナムやインドネシアにも中国企業がいることを想定し、戦略を立てていく必要がある」と主張していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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