ルーキーふたりの起用が噂されるハースF1。チーム代表は「明らかなリスクはあるが、利益もある」と強調

 ハースF1チーム代表のギュンター・シュタイナーは、2021年にふたりのルーキーを起用することの“明らかなリスク”を見過ごしてはいないが、チームにとってそのような選択をすることは、長期的には利益になることも強調している。

 ハースはまだ来シーズンのドライバーを発表していないが、今シーズンのステアリングを握っているロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンのふたりはチームを離脱することが決定している。

 現在のドライバー市場には経験豊富で才能のあるセルジオ・ペレスとニコ・ヒュルケンベルグのふたりがいるものの、ハースは2021年にはロシア出身のニキータ・マゼピンと、フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)所属のミック・シューマッハーを起用すると予想されている。

 シュタイナーによると、チームはまだ選択を確定していないが、2021年にルーキーペアを起用するにあたっての長所と短所を比較評価しているという。

2020年F1第9戦トスカーナGP ギュンター・シュタイナー(ハースF1チーム代表)

「我々はまだふたりのルーキーの起用を決めてはいないが、そのことに関して、私の考えを話すことは容易だ」とシュタイナーは語った。

「我々はこの件について議論した。彼らのリスクとチャンスについてだ。ふたりのルーキーを擁することは明らかにリスクがある。データなどを確認できるような経験豊富な者がいなくなってしまうので、ルーキーたちは何が起こっているのかを自分たちで見つける必要がある。それによって過ちが起きるリスクもある」

「だが利益としては、望む方向へ彼らを導くことができることと、彼らがチームと一緒に成長できることがある」

「そうした経験がないからといって、うまくいかないということにはならない。もちろん、うまくいかないリスクもあるだろうが、その可能性を無視することはしたくない」

 2016年のF1参入以来、ハースは常に経験豊富なドライバーたちにマシンを託してきた。グロージャンとエステバン・グティエレスがハースの最初のラインアップだったが、2018年にグティエレスはマグヌッセンに取って代わられた。

 したがって、2021年に完全にルーキーのみのラインアップを擁することは、ハースにとって新たな出発点となる。

「我々は他の人々と違うことをいくつかやってきた」とシュタイナーは語った。

「私は数年前に『なぜロマン(・グロージャン)をこれほど長く引き止めておくのか?』と尋ねられた。なぜなら、どのチームもおなじドライバーをそれほど長く留めておかないからだ」

「他の人がやったようなことをする必要はない。我々は自分たちが正しいと思うことをしていく。それがうまくいくかどうかは、他の誰でもない自分たちが判断する」

「我々はそのリスクとチャンスを取る。だからもし我々がふたりのルーキーを起用したら、それはよく考えてのことなのだ」

「我々は長所と短所についても把握しているし、ルーキーを採用するならば、その一長一短に対処するだろう」

2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP ロマン・グロージャン(ハース)
2020年F1第13戦エミリア・ロマーニャGP ケビン・マグヌッセン(ハース)

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