「相模里神楽」、動画で魅力を発信 竹林などで天狐の舞

動画撮影で天狐の舞を披露する垣澤瑞貴さん=厚木市上荻野

 厚木市の無形民俗文化財に指定されている伝統芸能「相模里神楽」の魅力を国内外に発信しようと、世襲で伝承している垣澤社中(同市酒井)が、神楽を映像に収め、動画投稿サイトで配信する取り組みに乗り出した。県の文化芸術活動を促進するための補助金を活用。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、神楽を披露する機会が限られる中、垣澤社中は「神楽も厚木も脚光を浴びるような工夫をしたい」としている。

 映像の収録は、厚木市内の竹林や神社、古民家を舞台に、10月31日と11月1日に実施。3代目家元・垣澤勉さん(74)の長女瑞貴(みずき)さん(37)が鮮やかな装束姿で、狐(きつね)の面を着けて天狐(てんこ)の舞を演じた。

 里神楽は神話などを題材にした舞楽で、各地で演じられてきた。厚木では垣澤家が相模流を名乗り、100年以上伝承しており、厚木神社をはじめ、平塚、伊勢原、座間市内の神社の祭礼などで披露している。

 だが、今年はコロナ禍で神社での神楽は取りやめに。そこで、県の補助金150万円を活用し、動画投稿サイト「ユーチューブ」の社中公式チャンネルで配信することにした。厚木市上荻野の竹林や古民家岸邸、七沢の愛宕社などで撮影を重ねた。

 竹林での天狐の舞は、伝統的な演目に瑞貴さんが独自の振り付けを施した。竹林や雑木林の落ち葉を背景に、金や赤の鮮やかな神楽の装束と白い天狐の面が映え、時に情感を込めて激しく舞う姿を収めた。動画の配信は12月からを予定している。

 瑞貴さんは「伝統芸能の相模神楽の魅力を広く世界に発信し、地元の厚木も注目されるようにしたい」と意気込む。神楽の伝統を尊重しつつ、新たな魅力や発信の方法を模索しているという瑞貴さん。来年には神楽師として映画出演も予定している。

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