「静かな夜に突然ごう音」 米軍機? 所属不明機の情報、熊本で相次ぐ

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10月29日にオスプレイのような機体を目撃した方角を指さす女性。機体は奥の南外輪山から畑の真上辺りを通過し、阿蘇市方面に飛んでいったという=南阿蘇村
山都町鶴ケ田の法蓮寺集落。9月30日夜、上空を超低空飛行しているようなごう音が響いたという=4日

 「夜に突然のごう音」「驚くほどの低空飛行」-。熊日の調査報道企画「SNSこちら編集局」(S編)に県内で所属不明の飛行機の情報が相次ぎ寄せられた。証言を基に機体の正体を追った。

 「自宅のテレビの音を打ち消すゴォーという飛行機音。家族が『怖い』とおびえるほどだった」。山都町鶴ケ田の法蓮寺集落に暮らす公務員男性(43)はそう振り返る。

 ごう音が響いたのは9月30日午後9時ごろ。機体は見ていないが、上空を低空飛行するような音で、10世帯しかない山あいの集落の静かな夜が急転した。

 男性は「夜にこれほどのごう音を聞いたのは初めて。どこの機体なのか? 許されることなのか?」と訴える。

 同日夜、男性方から南東に約5キロ離れた同町仏原[ほとけばる]地区でも、ごう音を聞いたとの証言がある。いずれも数秒の出来事で、「家の上を低空で飛び去った」との話は共通する。

 熊本空港小型機会の上村雄二郎前会長は「時間帯や音量から考えると、民間機はあり得ない」と言い切る。

 一方、山都町と南外輪山を挟んで隣接する南阿蘇村。同村長野の会社員女性(53)は10月29日に2度、村内で両翼に回転翼が付いた機体を目撃した。

 1回目は午後2時ごろで、1機が「そんなに低く飛んだら駄目だろう」と思うほどの高度で頭上を通過。2回目は午後4時半ごろ、2機が「バリバリ」と音を響かせて、北東方面に飛んでいった。女性は「(米国製輸送機の)オスプレイに見えた」と話す。

 また同時刻ごろ、休暇で阿蘇山上にいた熊日の大倉尚隆記者(40)も機影を目撃。自衛隊や米軍演習の取材経験があり、「おそらくオスプレイだ」と証言する。自転車の車載カメラで自動撮影した動画にも機影が映っていたが、映像ではオスプレイかどうかまでは確認できない。

 オスプレイは陸上自衛隊も導入しているが、山都町と南阿蘇村の情報について、陸上、航空の両自衛隊に問い合わせると、いずれの時間帯も「自衛隊機の飛行はない」と回答。戦闘機が配備されている空自の築城[ついき](福岡)、新田原[にゅうたばる](宮崎)の両基地とも「該当日はスクランブル(緊急発進)もなかった」と説明した。

 では、米軍機の可能性はないのか。熊日の過去の取材では1990年代半ば、県内で米軍機が年100回ほど目撃されている。山都町や阿蘇地域などの九州中部の上空には、米軍が公表している飛行経路「イエロールート」も存在する。

 在日米軍司令部は熊日の取材に「日米合同委員会での二国間協定の枠組みの中で、訓練、飛行を行っている」などと回答。ただ、県内で該当日に米軍機が飛行したかどうかについては、否定も肯定もしなかった。

 在日米軍基地の監視を続ける市民団体「リムピース」の田村順玄共同代表は米軍機の可能性を指摘。「住民が脅威に感じるような飛行であれば、それは異常なこと。事実を積み上げ、声を上げ続ける必要がある」と強調する。(原大祐、九重陽平、上杉勇太)

 ◇S編では、飛行機の低空飛行やごう音などに関する目撃情報(写真、動画を含む)を募っています。