メンタルヘルスをサポート 公認心理師 池田薫さん 燿光リハビリテーション病院

職員のメンタルサポートに従事する池田さん=佐世保市、燿光リハビリテーション病院

 長崎県佐世保市山手町の燿光リハビリテーション病院の職員のメンタルヘルスをサポートする部署で、担当者の公認心理師池田薫(かおり)さん(50)が、より良い職場環境づくりに向けて奮闘している。病院勤務者は一般的に「高ストレス」状態と指摘される。池田さんは「コミュニケーションの潤滑油になれたら」と意気込みを話す。
 同市出身。福岡県内の大学を卒業後、1992年、同病院の前身の弓張病院に就職した。長年、言語療法士(現言語聴覚士)として患者のリハビリに従事していたが、自身の役職が重くなるにつれ部下の心の健康の重要性を感じるように。メンタル心理カウンセラーなどの資格を取得し、ケアの手法を学び始めた。
 「心は良い仕事をするための根本。もっと心のケアに力を入れたい」。通信教育で心理学の勉強を続け、2019年に公認心理師の資格も取得。その時期、院内のメンタルケア担当者が高齢で出勤日数が減っていた状況もあり、池田さんは「私に引き継がせてもらえませんか」と“立候補”。新しいキャリアへと一歩を踏み出した。
 所属は「職員相談課」。現在、病院の職員らを対象に、月に50~70件の相談に応じる。「患者のリハビリにどう対応したらいいのか」「仕事とプライベートの両立が難しい」。内容は多種多様。言語聴覚士として現場で勤務した経験を生かし、相談内容によっては患者の訓練に同行しサポートすることもあるという。
 病院のスタッフは日々、緊張を強いられ、メンタルヘルス対策が全国的な課題となっている。池田さんは相談業務を通じ「メンタル不調への理解不足が、オープンに相談できない現実につながっている場合もある」と気付かされた。「心身の不調が起きた場合、自身のメンタルにも目を向けてほしい。早く休めば治りも早い」と池田さん。
 今年2月、職員の出退勤時にその時の気分をタッチパネルに入力してもらい、心の健康のセルフマネージメントを勧める新たな取り組みも始めた。池田さんは「気軽に相談してもらえるような環境づくりを進めたい」と語る。

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