「視界のすべて だいだい色に」 被爆者 田川さんオンライン講話 東京の高校生に

東京の高校生へオンラインで被爆体験を伝えた田川さん=長崎市、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

 インターネット会議システムを活用して遠隔地の人に被爆者が自らの体験を語る「ピースネット」が9日、長崎市平野町の国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館であり、新型コロナウイルスの影響で長崎への修学旅行が中止となった東京の高校生が被爆の実相を学んだ。
 ピースネットは2004年度に始まり、今回で累計392回目。12歳のころ、爆心地から3.3キロの鳴滝町(当時)の自宅で被爆した田川博康さん(87)が体験を語った。
 「視界のすべてがだいだい色になった」「父を亡くした時は感情を失っていた。母も亡くなり、ようやく涙があふれた」-。田川さんは被爆後数日で両親を失った悲しみや当時の惨状、戦後に目の当たりにしてきた被爆者への差別、体験を語るようになった経緯などを紹介。生徒たちは画面越しに、真剣なまなざしで見詰めていた。
 田川さんは生徒たちへ「戦争はダメ、平和が大事ということを、自分の哲学の中心において」と思いを伝えた。東洋英和女学院高2年の渡辺瑞祈さん(16)は「被爆した日本が世界の平和をリードしていくべきというメッセージが印象に残った」と語った。

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