卒業アルバム用撮影、写真家の奮闘

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武生東高校3年生の遠足に同行する畑勝浩さん(中央)。生徒たちとコミュニケーションを取りながら、思い出の一冊になるよう奮闘している=10月16日、福井県勝山市の福井県立恐竜博物館

 新型コロナウイルスの影響で、修学旅行や連合体育大会など学校行事の縮小や中止が相次ぐ中、福井県内の写真店は卒業アルバム作りに奮闘している。子どもたちにとって、一生に一度の思い出の瞬間を残すもの。運動会など限られた行事に加え、マスク姿などの“日常”にも積極的にカメラを向ける。「そんな時代もあったねと、いつか笑える一冊に」しようと、シャッターを切り続けている。

 「いつもなら春ごろには、子どもたちの性格や特徴が分かるんだけど。学校が再開しても、なかなかふれ合う機会がなくてね」。ミドリ写真館(越前市粟田部町)を経営する畑勝浩さん(55)は苦労を口にする。

 越前市内の複数の小中高校のアルバム作りに30年近く携わってきた。今年は撮影機会に制約も多いが、10月16日には武生東高校3年生の遠足に同行し、勝山市の県立恐竜博物館を訪れた。

 何気ない日常の一コマを最も大切にしている。授業中に真剣に考えている表情、勇気を持って発言する緊張の面持ち、教室で友達と昼食を取っている笑顔…。「コロナだからではなく、毎年やっていること。保護者は授業風景をめったに見ることはできない。アルバムを通して『学校生活を頑張っていたんだな』と分かれば喜んでくれる」と話す。

 コロナ禍を象徴するシーンも逃さない。大きなマスクを着けて登校する児童、距離を取って校内へ入っていく様子、授業終わりに順番に手を洗う場面など「どれもおもしろい。マイナスばかりじゃないよ」。子どもたちはコロナ禍の中でも一生懸命頑張っている。畑さんは「その姿を撮るのが仕事。中身の濃いアルバムは作れるよ」と言い切った。

 春に遠足や修学旅行などを予定していた学校は軒並み秋に延期した。福井市内の私立高校など約10校を受け持つ安本写真館(同市みのり1丁目)の安本健一代表(54)は「10、11月は体力勝負」と気合を入れる。

 卒業まで約4カ月。「11月は七五三の撮影も入ってくる。例年に比べると倍は忙しい」と言うが、安本さん自身、3人の子どもがいる。「子どもたちが将来、『2020年はこんな年だったね』と笑顔で振り返ってもらえるようなものを作ってあげたい」と親心を見せた。