17日に開幕の卓球Tリーグ コロナ禍での“3つの変化”とは

Tリーグは12日、3季目の開幕を前にオンラインで記者会見を行った。

今シーズンのテーマを「世界最高峰の卓球を、もっと近くに」と掲げたTリーグは、過去2シーズンとどのように変わるのか。

会見から見えた3つの変化について解説する。

Tリーグの変化(1)コロナ禍のリーグ開幕 年内45試合を「無観客」で

写真:オールスタードリームマッチ参加選手/撮影:ラリーズ編集部
今季のTリーグに最も影響を与えたのは、新型コロナウィルス感染拡大と言える。今年は例年より2~3ヶ月遅い11月の開幕となり、年内はリモートマッチ(無観客)での開催が決定されている。

Tリーグは、コロナ禍での安全で円滑な試合運営のため、オフシーズンでの2度のプレマッチの経験を活かし、リーグ独自の対策ガイドラインも策定した。

また、海外選手が来日できないケースや、体調不良者が出ることも鑑みレギュレーションも変更。選手ランクの要件を緩和し、最上位のSランクでは世界ランク10位以内だった基準を20位以内に変更し、全日本選手権ベスト4以上の項目も新設した。

シーズン成立要件については、全チームが予定の21試合(3チームと7試合ずつ対戦)のうち3分の1にあたる7試合以上を消化することでシーズンは成立するとした。

そして団体戦成立の要件も最悪の事態に備えて見直した。本来1マッチに4選手以上の登録が必要だが、「やむを得ない場合」と判断されれば、3名でのエントリーも認め、試合成立となる。もし2名でのエントリーとなった場合はチームは不戦敗扱いとなるが、試合は行い、個人成績のみ反映される形となる。

海外選手が多く参戦するTリーグにおいて、来日から2週間の隔離が必要な現在の規制の中でベストメンバーを揃えるのは至難の技だ。事実、宮崎義仁理事長補佐も会見の中で「既に入国をして2週間の隔離中の選手が数名いるという報告は受けている」と報告しており、多くの海外選手が開幕に間に合いそうにない。

Tリーグとしては、チーム内での感染を含め、コロナ禍の何が起こるか分からない状況下でもリーグ運営を継続するためのルール設計を行った形だ。

Tリーグの変化(2)理事体制変更で「強化」と「普及」の両立へ

写真:松下初代チェアマンからラケットを受け取る星野一朗氏(右)/提供:Tリーグ
今年7月に松下浩二初代チェアマンからバトンを引き継いだ星野一朗Tリーグ新理事長は「7月に拝命してから事務局とチームの皆さんと準備をしてきた。やっとスタートするという実感がフツフツと沸いている。今の立場を考え、突っ走って行きたい」と新体制として初めて迎えるシーズンへの思いを口にし、日本卓球協会でもタッグを組む宮崎理事長補佐とともにTリーグをリードする。

日本卓球協会の幹部(星野氏は専務理事、宮崎氏は常務理事 強化本部長)がTリーグ運営のトップに立つメリットは、ナショナルチームとの連携だろう。

宮崎氏は、国際大会参加のため中国に遠征中の張本智和丹羽孝希、石川佳純のTリーグ出場について「(張本らは)ITTFファイナル(12月11日~22日・中国)が終わり次第、帰国すると聞いている。隔離期間の後、チームの監督の判断次第だが、年内のTリーグに数試合に出られると認識している」旨をコメント。日本卓球協会で強化本部長を務める宮崎氏がTリーグ運営に携わることにより、ナショナルチーム所属の日本代表選手とTリーグが連携している様子が伺える。

Tリーグの変化(3)ベストファン賞が新設 チームのSNSフォロワー増が基準に

写真:2019年の開幕戦では日本生命レッドエルフの大応援団が会場を盛り上げた/撮影:ラリーズ編集部
今季のTリーグの表彰対象については、従来の優勝チーム、個人MVP(前期、後期、シーズン)、ベストペア賞、最優秀監督に加え、「ベストファン賞」が新設された。

シーズン中に「SNS(ツイッター、インスタ)のフォロワー数が最も増加したチーム」に賞品としてNTTドコモからdポイント20万ポイントが贈呈される。

年内は無観客開催が決まっている中、各チームはどのようにファンを増やしていくのか、コート外での空中戦にも注目だ。

いよいよ11月17日にTリーグ3季目が開幕

写真:3季目の抱負を語る浜本由惟木下アビエル神奈川)/撮影:ラリーズ編集部
11月17日の開幕戦のカードは、男子が木下マイスター東京と琉球アスティーダ(14時開始)、女子が日本生命レッドエルフと木下アビエル神奈川(19時開始)といずれも昨季の1位と2位が対戦する。

各チームの選手は報道陣に対し、開幕に向けての抱負をビデオメッセージで寄せた。木下マイスター東京の主力としてリーグ2連覇中の水谷隼は「試合はなかったが、木下の選手はTリーグに向けて練習してきた。絶対に優勝して3連覇を達成したい」と気合十分に意気込みを語った。

文:ラリーズ編集部

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