川原慶賀研究 振り返る 長崎県地方史研究会 原田会長が発表

川原慶賀の研究について振り返る原田さん=長崎市、県勤労福祉会館

 長崎県地方史研究会の研究発表会が7日、長崎市桜町の県勤労福祉会館であった。同会会長の原田博二さんが登壇し、長年取り組んできた江戸期の絵師川原慶賀研究の歩みを振り返った。
 川原慶賀は長崎で活躍した出島出入絵師で、詳しい経歴は不明。生まれ年は1860年に描いたとされる絵像に「七十五歳種美写」とあり、逆算して1786年と推測される。
 原田さんは1996年頃から本格的に研究を開始し、オランダやドイツなどに残る慶賀の絵画を調査。絵画の数の多さから、慶賀の作品は他のスタッフと分業で制作されたと考える研究者もいるという。
 一方、原田さんは公式文書の「犯科帳」に記される名前が「川原慶賀」ではなく「登与助」であることから、「名字がないのは借家人の階層。大勢の弟子を抱えるはずがない」と持論を説明。「慶賀についてはまだ分からないことが多い。5人から10人くらい慶賀と称する人たちがいてそれぞれ描いている。これまでの調査を基に、今後はさらに絵の特徴などを分類してまとめたい」と述べた。

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