CS制するのは“PayPayドーム男”? 鷹はタイトル獲得者、ロッテはベテランが好相性

ソフトバンク・柳田悠岐【写真:藤浦一都】

鷹は「最多安打」の柳田が本拠地にもロッテ美馬にも強い

■ソフトバンク – ロッテ(CS・14日・PayPayドーム)

いよいよ14日から「2020 パーソル クライマックスシリーズ パ」が開幕する。今年はソフトバンクとロッテが日本シリーズ進出を懸けてぶつかり合う。決戦の場はPayPayドーム。今季両チームの対戦成績は、24試合で12勝11敗1分と僅差でロッテが勝ち越しており、ソフトバンクが唯一負け越している相手でもある。対戦成績を基に、両軍のキーマンを紹介したい。

2位・ロッテと14ゲーム差をつける圧倒的な強さで3年ぶりのリーグ優勝を果たしたソフトバンク。9月は6試合で1勝5敗とロッテの攻略に苦戦したが、10月は6試合で5勝1敗と巻き返しを見せた。5選手で7部門の個人タイトルを手にした強者ぞろいのソフトバンクは、どのような試合展開をみせるか。

好調なカモメ投手陣を打ち崩す上で注目したいのは、「最多安打」のタイトルを獲得した柳田悠岐外野手。PayPayドームでは59試合で208打数79安打17本塁打、打率.380と本拠地で特に快音を響かせている。また、ロッテ戦では打率.299、4本塁打を記録、なかでも「鷹キラー」と名高い美馬学投手には22打数8安打、打率.364と打ち込んでいるため、キーマンと言えるだろう。

「最優秀中継ぎ」に輝いたリバン・モイネロ投手は、ロッテに対して9試合で3安打無失点、防御率0.00と、本塁を踏ませない力強い投球でチームの勝利を引き寄せた。塁上に走者がいる際の被打率は0.00と、ピンチにも強いことがうかがえる。8回表をモイネロが無失点でつなぎ、最終回を森唯斗投手が締める「勝利の方程式」を短期決戦でも披露できるか。

第1戦の先発を任された千賀滉大投手の対ロッテ今季成績は3試合で2勝1敗、防御率2.42。PayPayドームでの登板は7試合で5勝2敗、防御率1.93と、本拠地での好投が目立つ。8月18日のロッテとの今季初対戦では、6回1/3を6失点と乱調だったが、以降の2試合はどちらも8回無失点と本領発揮。「最優秀防御率」「最多勝」「最多奪三振」の投手3冠を手にした千賀投手は、渾身の投球でカモメ打線を翻ろうできるか。

和田毅投手はロッテに対して3試合で2勝0敗、17回1/3を8安打21奪三振1失点、防御率0.52と完璧に抑え込んでいる。中でも、左打者に対しては30打数で2安打14奪三振、被打率.067と好相性を見せている。「松坂世代」の同学年の選手たちが次々と引退していく中、存在感が増しているベテラン左腕の投球にも注目だ。

荻野&清田、短期決戦でのベテランの奮起に期待がかかるロッテ

対ソフトバンクで2年連続の勝ち越しを決めたロッテ。シーズン終盤に勢いを失って3位に転落した時期もあったが、2位を死守して「パーソル CS パ」の出場権を勝ち取った。PayPayドームでは防御率2.77とパ球団本拠地の6球場の中で2位である一方、打率は.214とワーストを記録。いかに鷹投手陣を打ち崩すかが肝となる。

そんな打線では不動のリードオフマン・荻野貴司外野手に期待がかかる。ソフトバンク戦では12試合で51打数17安打1本塁打4打点、打率.333と好相性で、さらにPayPayドームでは6試合で25打数9安打1本塁打2打点、打率.360、得点圏打率.500と活躍が光っている。第1戦に先発する千賀に対しては5打数3安打、打率.600としているだけに、対決にも注目だ。ケガに苦しんだベテランの一打で打線を奮起させたい。

さらに、ベテランとしてチームをけん引している清田育宏外野手もいる。ルーキーながら「最優秀選手賞」を獲得した2010年の日本シリーズ制覇から10年。対ソフトバンクでは14試合で37打数14安打1本塁打3打点、打率.378。PayPayドームでは15打数6安打1打点、打率.400とその相性の良さがうかがえる。10月以降は打率.327とシーズン終盤にかけて調子を上げている清田のバットは短期決戦でも火を吹くか。

投手陣では唐川侑己投手に注目。今季は32試合で1勝1敗14ホールド、30回1/3で4失点、防御率1.19という成績でブルペンを支え、ソフトバンク戦では7試合で5ホールド、6回5安打5奪三振、防御率0.00と安定した投球で鷹打線を封じ込めている。また1点リードの試合では、12打数1安打5奪三振、被打率0.83と接戦に強いことがうかがえる。リードを守る熱投で、チームの勝利を引き寄せたい。

今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、パ・リーグのみCSが開催される。短期決戦に強いと言われるソフトバンクが王者の貫禄を見せつけられるか。それとも逆転勝ちを得意とするロッテが「下克上」を遂げるか。日本シリーズを懸けた熱き決戦に期待が高まる。(「パ・リーグ インサイト」下村琴葉)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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