10~11月 長崎県内金融経済概況 景気「緩やかに持ち直し」 判断連続引き上げ

 日銀長崎支店が13日発表した10~11月の長崎県内金融経済概況は、景気の総括判断について、新型コロナウイルスの影響で引き続き厳しいとしながらも「緩やかに持ち直している」と2カ月連続で引き上げた。観光が改善し、個人消費も徐々に持ち直している。
 直近の総括判断は「持ち直しの動きがみられる」としていた。会見した下田尚人支店長は先行きについて、感染拡大をリスク要因に挙げつつ「さまざまな経済対策に支えられ、観光関連需要と個人消費が改善を続けるだろう」との見方を示した。
 観光は「依然として低い水準ながら改善している」と2カ月連続で判断を引き上げた。9月の主要ホテル・旅館宿泊者数は、政府の観光業界支援事業「Go To トラベル」効果で前年比マイナス幅が縮小。全体の稼働率が5割前後まで戻った。修学旅行を含め九州内からの需要の回復が早い一方、遠距離は遅れ気味。学会など大規模な法人団体需要は今なお低迷している。
 個人消費が持ち直しているのもプラス材料となった。巣ごもり消費や衛生用品の需要は堅調。ホームセンターは9月の台風による“防災特需”があった。観光客数の回復も寄与した。10月の乗用車新車登録台数は13カ月ぶりに前年を上回った。
 外食などサービス消費も改善傾向。民間の調査によると、飲食店サイト閲覧数が前年の水準に近づく半面、外出者数は午前中に比べ夜間の回復が遅い。下田支店長は、政府の飲食業界支援事業「Go To イート」の効果を見込みながらも「宴会の人数制限を続けている企業は少なくない。団体に依存する業態の店は工夫が求められそうだ」と述べた。
 生産は「減少している」の表現を据え置いた。ただ、電子部品など製造業について下田支店長は「自動車を中心に全国の生産活動が回復。県内でも遠くないタイミングで下げ止まるのではないか」と予想した。

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