ホークス森、日本Sへ王手かける3者凡退の完璧セーブ 「絶対に抑えてやろうと」

3番手として登板しセーブを記録したソフトバンク・森唯斗【写真:荒川祐史】

8回の攻防で明暗分けたセットアッパー

■ソフトバンク 4-3 ロッテ(CS・14日・PayPayドーム)

ソフトバンクは14日、本拠地で行われたロッテとの「パーソル クライマックスシリーズ パ」第1戦を4-3で逆転勝利。同点で迎えた8回に甲斐の内野安打で勝ち越すと、9回は守護神・森が2三振を奪うなど3者凡退に抑えた。

同点で迎えた8回、互いのセットアッパーが明暗を分けた。ソフトバンクのモイネロが3者凡退に抑えたのに対し、ロッテの澤村は2つの四球などで満塁とされ、勝ち越し内野安打を許した。1点リードに変わった9回は森唯斗が3人でしっかりと締めてセーブを記録。その瞬間にモイネロに白星、澤村の黒星が確定するとともに、1勝のアドバンテージを含めて2勝としたソフトバンクが日本シリーズ進出に王手をかけた。

森は決勝打の甲斐とともにお立ち台に上がり「気持ちだけは負けないようにと思っていましたが、ファンの皆さんが後押ししてくれました」と、スタンドを埋めたファンの応援に感謝した。その後、報道陣の取材に応じた森は「いい緊張感でできました。いい調整ができて準備はバッチシでした」と胸を張った。

1点リードで上がったマウンドに「短期決戦なので気合は入っていました。『いつもそうやって投げろ』と言われますけど、いつも気合が入っていないわけじゃないんですけどね」と苦笑しながら「同点でもいくつもりでしたし、8回の攻撃を見て点が入った時とは『絶対に抑えてやろう』ともう1個スイッチを入れてマウンドに上がりました」と振り返った。

セーブ王逃すも新人からの50試合登板を継続

今季の森は52試合に登板して1勝1敗32セーブを記録。西武・増田にわずか1セーブ差でセーブ王のタイトルを譲る形となったが、3年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。さらに自身が「これだけは何としても達成したかった」という、ルーキーイヤーから7年連続となる50試合登板をクリア。

「今季はシーズンの試合数が減って絶対に無理だと思っていました」と語るとともに、チームの12連勝中は投打が噛み合い過ぎてセーブ機会に恵まれず「投げたくてうずうずしていた」という。その中での50試合登板記録継続に「本当にうれしい」と心底喜んでいた。

森はリーグ優勝決定後も「最初の無観客の頃は、どこかフワフワした気持ちで投げていましたが、お客さんが入ってからは本当に力をもらえた」と語っており、この日のお立ち台での感謝の言葉も素直な気持ちの表れだ。

自らのセーブでチームはCS突破に王手をかけたが「早く決めたいですが、そこまで甘くないと思います。できることをしっかりやって準備して、また明日しっかり戦うだけです」と気合を入れ直していた。(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

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