顔の見えないSNSのやりとり、実社会でトラブルに 感情や意見が先鋭化

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兵庫県警三田署=三田市天神1

 顔の見えないSNSでのやりとりが実社会でのトラブルに発展するケースが後を絶たない。8月には神戸市で、人気SNS「インスタグラム」の動画生配信機能での何気ないコメントから少年ら50人を巻き込む傷害事件が発生。神戸新聞が14日付夕刊一面で事件の詳細を報じたが、その編集作業のさなか、今度は兵庫県三田市内の少年2人がSNSでのやりとりを巡る傷害、恐喝未遂容疑で逮捕された。どちらも感情や意見が先鋭化しやすいSNSの特性が表れた例とみられる。

 兵庫県警三田署によると、三田市であった事件の内容はこうだ。

 11月初旬、三田市の少女のスマートフォンに無料通信アプリ「ライン」のメッセージが届いた。送り主は三田市内に住む知人の男子高校生A(16)。

 「この間、○○を歩いていたね」。この何気ない言葉に嫉妬したとみられるのが、そのとき偶然、少女の隣にいた交際相手の男子高校生B(16)だった。

 Bはその場で少女のスマートフォンから、少女への連絡をやめるようAに要求。ラインや音声通話で言い争いになった。

 Aとは面識がなく、名前を知っているだけの間柄だったというBは数日後、知人の建設作業員の少年C(17)と、Aの通う高校前で待ち伏せた。双方の同級生らの間では2人の間のもめ事がうわさになっていたため、その場には約10人の見物人が集まっていた。

 Aを見つけたBは見物人らを伴って公園へ移動。同署の調べでは、Bが「ケンカを売っているのか」「土下座して金を払うか、タイマンするかの二択や」などと迫り、沈黙を続けるAの態度に立腹したCが馬乗りで顔を殴るなどした疑いがあるという。Aは左耳に全治2週間のけがを負った。

 14日になって三田署は傷害と恐喝未遂容疑でBとCを逮捕。2人はいずれも容疑を認めているという。

 ある捜査関係者は「具体的にどんな文言が怒りの着火点になったのかはこれからの捜査」としつつ、「発端となったSNSでのメッセージにどこまで悪意があったのか。からかっただけ、ふざけただけという可能性もある」と話した。

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 2人が逮捕されたこの日、神戸新聞の夕刊は、神戸市で起きた別の傷害事件を一面で詳報していた。くしくも、この事件も若者同士のSNS上のやりとりが発端になっていた。

 今年8月、若いカップルが写真共有アプリ「インスタグラム」を使い、動画を生配信中だった。「彼氏幼く見えるね」。リアルタイムで寄せられたコメントに腹を立てたカップルの男性は、配信中にこう発言した。「殺すぞ」

 この言葉をきっかけに、配信した男性とコメント主双方の知人を巻き込んだもめ事に発展。後日、神戸市中央区で、配信した男性側の約10人が、コメント主側の約40人に暴行され、最大で全治6カ月の重傷を負った。

 神戸市であった傷害事件について、阿部真大・甲南大学文学部教授(社会学)は「ネット上では一つの議題を巡って雑談もなく、集中的にコミュニケーションを取るため、相手に単純でわかりやすいレッテルを貼りがちになる」と指摘。敵意が暴走しやすいネット上でのやりとりに警鐘を鳴らしている。

 三田市の事件でも、少年たちがSNSの特性に注意していたら、トラブルを回避することができたかもしれない。